『ようこそ実力至上主義の教室へ 』3年生編はとんでもない事態に!? リミッターの外れた綾小路の天才ぶり

『ようこそ実力至上主義の教室へ』波乱へ

 そこで驚きの展開がぶち込まれた。坂柳が抜けてCに落ちたクラスに綾小路が移籍したのだ。このことが示された『2年生編 12.5』を読んで、ファンは先が読めなくなって頭を抱えた。『3年生編 1』で全校生徒の知るところとなり、共にAクラスでの卒業を目指して突っ走ってきた堀北も、他のクラスメートたちも、担任の茶柱佐枝をはじめとした教師たちもひっくり返った。

 クラス間の均衡を保ちたいという綾小路の意図は分かっても、それが卒業という段階でどのような展開をもたらすのかが見えないだけに、最後の最後まで目が離せなくなった。『3年生編1』ではさっそく、綾小路のクラスと龍園のクラスが激突して、そこで綾小路の実力が試験の点数的にも、他のリーダーによる評価という点でも飛び抜けていることが示された。リミッターを取り払った綾小路の天才が、坂柳を斬り捨てて選んだ龍園を相手にどう炸裂するかに、今からワクワクさせられる。

 そこにもうひとつ、堀北とともに綾小路清隆のクラスメートだった高円寺六助も絡んでくるとしたら、これほど面白い展開はない。高円寺コンツェルンの御曹司で優秀ではあるものの協調性がなく唯我独尊を貫いていたが、コンツェルンを率いる父親と綾小路の父親との間で勝負が行われることになり、こちらも本気を見せる必要が出てきている。陰の実力者とトリックスターの激突が今から楽しみだ。

 2年生編の最終試験では人物を見る目が試され、3年生編の最初の試験では教科テストでメンバーを選び良い点を取ってもらうことだけではないリーダーとしての資質も試されるなど、「よう実」内で繰り出される多彩な試験の面白さも続いている。クイズ的でミステリー的な感性が求められる試験の描写と、めぐらされる策謀をくぐり抜けて勝利を掴むサスペンス的な要素、そして少年少女の恋情を探るラブストーリー的な要素が絡み合ったまま進む「3年生編」の終わりに何が描かれるのか。綾小路は何者になるのか。ドキドキしながら追っていこう。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる