ラノベの名作『All You Need Is Kill』STUDIO4℃でアニメ化 原作や実写映画とは異なる視点とは?

アニメ『ALL YOU NEED IS KILL』でリタがクローズアップされるというのは、リリースにある「原作や実写映画とは異なる新たな視点でストーリーを再構築。リタという一人の女性の内面にフォーカスを当て、彼女の孤独と苦悩、そして、ケイジとの出会いと成長の物語を描きます」といった文章から想定されていることだ。公開されたPVやティザービジュアルでも、リタが異形の存在を相手に戦い、死んでは何度も同じ時間を繰り返す様子が描かれている。

原作では、最初のうちはひ弱な新兵だったケイジの前に屈強な女性兵士として登場したリタ。映画でもそうした役にエミリーがなりきって、鍛え上げられて引き締まったボディを見せてくれた。これがアニメでは、リタの視点からストーリーが描かれていくことになりそう。ケイジと同じように未熟だったところからだんだんと成長していった先でケイジと出会い、原作や映画にあったような展開へと向かっていく。『All You Need Is Kill』のサイドBとでも言えそうだ。
『DEATH NOTE』の小畑健がコミカライズした漫画版がすでにありながら、そのままアニメ化するのではなく、アメリカンコミックともバンド・デシネともとれそうな日本離れしたルックでアニメ化するところに、世界を視野にして展開したい意識が伺える。監督の秋本は、映画『海獣の子供』(2019)でCGI監督を務めて壮大な海の世界を描ききり、映画『漁港の肉子ちゃん』(2021)では演出も担当してSTUDIO4℃の次代を担う存在になっている。ここで『All You Need Is Kill』を監督することで、作品の高い知名度もあって世界から注目を集める存在となりそうだ。

そうした盛り上がりの中で、やはり中心には原作者の桜坂洋がいてほしいところだ。格闘ゲームにのめり込む若者の日々を描いた『スラムオンライン』に短編を増補した『スラムオンラインEX』が刊行されてから10年以上が経ち、目立った活動をしていないおらず動静を気にされていたが、こうして新企画が動くということは今も健在だと言えるだろう。アニメ化を機会に世に改めて存在を示し、そして夢の実写版続編が決まった暁には、待望の小説版『All You Need Is Kill』続編を世に問うて欲しいところだ。