『ホットスポット』魅力的すぎる角田晃広 バカリズム&東京03が生み出す“愛すべきダサさ”

俳優として無二の魅力を持つ角田晃広

 バカリズム脚本のドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)が面白い。物語の設定や展開はもちろん、遠藤清美(きーちゃん/市川実日子)、中村葉月(はっち/鈴木杏)、日比野美波(みなぷー/平岩紙)の幼なじみトーク、「レイクホテル浅ノ湖」の従業員や宿泊客とのやりとりなど、見どころがたくさん。そんななかで、いつの間にか、宇宙人・高橋孝介役の角田晃広(東京03)に夢中になっていることに気づく。角田が演じる高橋がとにかく魅力的なのだ(以下、ネタバレがあります)。

 ホテルの従業員・高橋は宇宙人ではあるが、見た目はどこにでもいるおじさん。ちょっとズルいし、嘘をつくし、自分をよく見せようとするし、報われないし、しょうがない人なんだが、ふとした拍子に感情を持っていかれて泣きそうになる(しっかりとオチはあるが)。彼を知れば知るほど大好きになってしまう。

 清美だけに宇宙人だと明かしたのに、まったく関係ない幼なじみにバラされる高橋、宇宙人の力を使って「天井のボールをとってほしい」と簡単にお願いされる高橋、こっそりホテルの温泉に入ろうとするが、バレそうになり、びしょ濡れになって震える高橋……すべてが面白い。角田の醸し出す“おかしみ”が、バカリズムの描く世界とマッチし、さらに面白さが増幅されているのだ。

 『半沢直樹』(2020年/TBS系)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/カンテレ・フジテレビ系)、映画『怪物』(2023年)、『侵入者たちの晩餐』(2024年/日本テレビ系)など、役者としても引っ張りだこの角田だが、やはり東京03が繰り出すコントでの演技と役柄が俳優業でも生かされているように思う。

東京03飯塚&バカリズムが引き出した“当たり役”

 東京03のコントは、突飛すぎる人物や設定はなく、日常を切り取ったものが多い。角田が不動産屋を演じたコント「スマイルハウジング」、上司と結婚する角田が同僚の飯塚悟志にあることをお願いする「小芝居」など、テレビはもちろん、「東京03 Official YouTube Channel」で公開されている名作も多いため、彼らのコントを目にしたことがある人も多いだろう。

 過去には角田もネタづくりに参加していたが、現在は飯塚がほぼネタを作っているという。豊本明長を含め、20年以上トリオを組んでいる飯塚が、角田にあったキャラクターを当て込むことで、さらに魅力的なコントとなっているのだ。

 とどのつまり、角田の演技力や角田の人間味を熟知している飯塚やバカリズムだからこそ、いわゆる“当たり役”を生み出すことができるのだと思う。東京03の名作コントや、今回の『ホットスポット』も、角田でないと成立しないキャラクター、角田だからこそできるキャラクターばかりである。

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