東ブクロ “クズ芸人”確立の背景は? 識者が指摘する、相方・さらば森田の光る“プロデュース力”

さらば東ブクロが築いた唯一無二の立ち位置

 群雄割拠のお笑い界で、独自の芸風を貫いているお笑いコンビ・さらば青春の光。なかでも、いくつものスキャンダルを乗り越え、“クズ芸人”としての立ち位置を確立した東ブクロは、他にはない特異性を持っている。

 東ブクロは、2月24日に公開された佐久間宣行のYouTubeチャンネル「BSノブロック〜新橋ヘロヘロ団〜」の動画に出演。メイプル超合金・カズレーザーとコンビを組んでいた学生時代の思い出から、個人事務所である「ザ・森東」の給与の決め方など、赤裸々なトークが話題を呼んだ。

【色々ありすぎた男】さらば青春の光 東ブクロとガチ飲み。コンビ結成について・ザ・森東設立秘話・ヤマネマネとの出会い・芸人としての快感とは?

 今回は、お笑い評論家のラリー遠田氏に、東ブクロのキャラクターが芸能界でどのように確立されていったのか、その背景と戦略について話を聞いた。

デビュー当時は“優等生”だった

さらば青春の光+会長『さらば青春の光の会長はねこである』(講談社)

 さらば青春の光は、結成直後からコントの実力派として高く評価されていた。松竹芸能に所属していた当時から、『ABCお笑い新人グランプリ』決勝進出、『キングオブコント』準優勝といった実績を重ね、順調にキャリアを築いていた。ラリー氏は、当時の2人を「どちらかというと、“優等生コンビ”という印象だった」と語る。

「もともと業界内でも実力派の若手として注目されていました。ネタ作りが巧みで、当時の若手芸人の中では突出した存在でしたね。賞レースから一気に売れるチャンスを掴みそうな勢いでしたが、その後、事務所からの独立騒動や東ブクロさんの不倫スキャンダルによって、彼らのイメージは大きく変わっていきました」

 芸人にとってスキャンダルは致命傷になることが多いが、そこで光ったのが相方である森田哲矢の手腕だ。

「東ブクロさんを無理に更生させようとせず、自分たちの個性をネタとして昇華したのが功を奏したのではないでしょうか。東ブクロさんはもはや、“やらかす人”としてのキャラクターが出来上がっています。森田さんが相方に振り回される様子を、自虐的にネタにすることで、他の芸人であれば許されないような事態も、うまく笑いに変えている印象です」

 東ブクロのキャラクターがここまで受け入れられているのは、さらば青春の光というコンビの構造が絶妙に機能しているからなのだろう。さらに、森田のプロデュース力はそれだけにとどまらない。

「お笑いコンビはよく、ネタを作る“お笑い担当”と、先輩やスタッフとの付き合いに精を出す“社交担当”に分かれることが多い。ですが、森田さんはその両方を一手に担っている感じがします。YouTubeの企画をはじめ、自分たちをどう見せるかというブランディングも非常に意識していると思います」

 業界から見ても、コンビのカラーが明確なことは大きな強みになるという。

「企画を立てる側からすると、さらば青春の光のようなキャラクターがはっきりしている芸人は起用したくなります。彼らにどういうことをやらせれば面白くなるか、イメージしやすいんですよね。東ブクロさんの“クズ芸人”としてのイメージが先行していますが、森田さんも決してクリーンなイメージではない。ゴシップを収集していたり、ギャンブル好き・女好きという一面もある。だから、さらば青春の光のYouTubeでも、ドッキリで誰かを騙したり、多額のお金を賭けたりと、視聴者の下世話な好奇心を誘うような企画が多い。大手の事務所だとリスクがあってできないようなことでも、自分たちの裁量で自由にできる利点を活かして、視聴者だけでなく、業界にもうまくアピールしているように思います」

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