篠崎愛「初めて全部読めました」 話題書『32歳がはじめて本を読む』座談会、かまどが雨穴に言われたこと

本を読んだことのない男が初めて名作文学を読み、あまりの感動に涙する……そんなリアルな話をまとめたベストセラー書籍が『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』(大和書房)である。現在も話題の中で、著者であるかまどとみくのしんが、読書が苦手なグラビアアイドル・篠崎愛を迎えてのスペシャル会。
同書では、かまど氏のサポートのもと、本を読んだことがないみくのしん氏が読書の楽しさに目覚めていく過程が記されている。リアルサウンドブックでは著者二人のインタビューをお届けしたが、本記事ではさらに本をほぼ読んだことがないという篠崎愛との座談会を行った。本嫌いの人が本を読むことの大変さ、そしてその先にある楽しさについて、率直に語り合ってもらった。
「初めて本が読めた!」と読者大反響『32歳がはじめて本を読む』著者・かまど×みくのしん 名著に触れて起きたある変化
昨年夏に刊行されるやいなや、書店で売り切れが続出し、現在でも版を重ねているベストセラーが『本を読んだことがない32歳がはじめて本…
分厚い本を初めて読めた!

──篠崎さんは本書『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』(大和書房)を読みましたか?
篠崎:はい! 昨日1日かけて読んできました! もしかしたら、この一冊が私の人生で初めて読んだ本かもしれないです。
かまど:ええ、ほんとうですか!? ありがとうございます。嬉しいなぁ。
みくのしん:でも、この本には4つの短編が載っているので、この本+短編4作を読み切ったことになるじゃないですか。もう「5冊読んだ」って言っていいと思います。
篠崎:そう考えると、凄くおトクですね(笑)。
かまど:というかこれ、著者のみくのしんもまだ読めてないんですよ。
篠崎:え!? そうなんですか!?
みくのしん:それはまあ……。ゆっくり自分のペースで読んでるからね!
かまど:まだ著者ですら読めていないのに、読んでもらってありがとうございます。
そもそも字がムリ

篠崎:今回、対談をさせて頂くという事だったのでさすがに読んでおかないとやばいよなぁと思ってたら、こんなに分厚い本が手元に届いて(笑)。かなり怖かったです。
かまど:無理させてしまってすみません。読まずに対談にいらしても全然よかったのに。
篠崎:でも、本を読んだことがない人が読むというテーマなので、いざ読み始めたら共感ポイントが沢山あって「わかる~!!」ってなりながら、めちゃくちゃ楽しく読めました!
みくのしん:篠崎さんも本を読むのが苦手なんですね。
篠崎:そうなんです。そもそも読みたいと思ったこともなくて。まず字が無理なんですよね。
みくのしん:わかる!
篠崎:音とか映像がないと頭に入ってこなくて。
みくのしん:わかる!!
かまど:すごい速度で親近感を抱いてるな。
みくのしん:字だけでどうやって読めと? って感じですよね。でも漫画は大丈夫なんだよな~。
篠崎:そうそう! 漫画は絵があるから読めるし、むしろ好き。
みくのしん:小説も、漫画みたいに「ドカーン!」とか大きい字で書いてあればいいのに。声の大きさとか抑揚も、漫画なら吹き出しの形とかでイメージできるけど、本は全部自分で想像しないといけないんですよね。
篠崎:本って字の大きさが全部同じですもんね。あれ、やばくないですか?
みくのしん:やばいです。
かまど:篠崎さんは、この本を読むのは苦しくなかったですか?
篠崎:最初は本当に緊張したんですよ。「読めなかったらどうしよう……」って。でもお二人の楽しい掛け合いがいっぱい入っていたので、最後まで飽きずにしっかり読めました。収録されている作品もいきなり全文が載っているわけじゃなくて、数行ずつ読めるようになってますし。

みくのしん:かまどのおかげですね。彼がこの原稿を全部まとめてくれたんですけど、とにかくめちゃくちゃ読みやすいように書いてくれてるんですよ。本が苦手な人って、一気に何行も読めないじゃないですか。だから、細かく文章を分けて、テンポよく読めるようにしてるらしいです。
篠崎:そうなんですね!たしかに、最初の「走れメロス」を読んでみたら、意外といけたんですよ! 全体的にわかりやすくて、内容も自然と頭に入ってきました。
みくのしん:「走れメロス」面白いですよね~! 僕もオススメです。
篠崎:「これなら読めそう!」と思って、そのまま「一房の葡萄」の章を読み始めたんですけど……正直、このパートはちょっと大変でした。難しい表現が多すぎて「あ、やばいかも」と思って。
かまど:そうなんだ。「走れメロス」に比べると、ストーリー展開より情景描写が多い作品なので、そこが合わなかったのかもしれませんね。
篠崎:それで読むのをやめて、一旦ゲームしたりして……。そのとき「対談の準備は『走れメロス』を読むだけでもいけるかな」とか、一瞬頭によぎっちゃったりもして。
みくのしん:気持ちはめっちゃ分かります。本音を語ってくれて嬉しいです。
かまど:全然「メロス」だけでもよかったんですけどね。
篠崎:でも、せっかくだからもう少し読んでみようと思って。ズルいかもしれませんが、最後のあとがきを一回読んでみたんです。
みくのしん:全然ズルくないですよ! むしろ「その手があったか!」って感じです。
かまど:そこまでして読もうとしてるんだから、ズルいどころか誠実だと思います。

篠崎:あとがきを読んだ後、雨穴さんの章を読んでみようかなと思って。雨穴さんはYouTubeで知っていたので、ちょっと面白そうかもと興味が持てたんですよ。それで短編「本棚」を読んでみたら……これがすごく面白くて!
みくのしん:ですよね! あの作品、僕も大好きです!
篠崎:それで「やっぱり読めるかも」と思って、もう一回「一房の葡萄」にトライしてみたんですけど、そこでも読めなかったんですよね。漢字が難しくて、内容が全然入ってこないというか……。
みくのしん:わかります。僕も読むのが大変だったので、いま「仲間がいる!」と思えて、すごく嬉しいです。
篠崎:やっとの思いでどうにか読み終わって、次の「杜子春」を読み始めたんですけど、もうタイトルだけで絶対に難しいだろうなと思ってめっちゃ緊張しました。聞いたことない言葉だし、どんな話なのか想像もつかなくて。
みくのしん:本って読む前に「どんな内容なのか」が分かるチャンスがないから、緊張しますよね。
篠崎:なので、本編を読む前に、章の終わりにあるみくのしんさんの「杜子春の読書感想文」を先に読んでみたんですよ。せめて、どんな話なのか分かっておきたいと思って。
そしたら、そこでみくのしんさんが「最高傑作!」と書いてたんですよ。「え、本当に? 杜子春が??」と信じられなかったんですけど、読書が苦手な人がそこまで言うなら、と覚悟を決めて読んでみたら……もうめっちゃ面白かったです。
みくのしん:すごいなぁ。結果、本一冊まるまる読み切ってるじゃないですか。
篠崎:順番通りに読めてなくて申し訳なかったですけど。
かまど:申し訳ない、なんてことないですって。読む順番なんて読者が自由に決めていいと思いますし。しかも、1日で読み終わるなんて、みくのしんよりもはるかに速いスピードですよ。
篠崎:せっかくなら読み終わった状態でこの対談に行きたかったので。ソファに寝っ転がったり、お風呂に入りながら読んだりしてました。
みくのしん:お風呂でも!? 指シュワッシュワになりません!?
かまど:すみません、ご無理させてしまって。
篠崎:みくのしんさんによると、これで私は一気に5冊の本を読めたってことになるんですよね。
みくのしん:はい。篠崎さんの読書歴に「+5冊」しちゃってください。
篠崎:というか、みくのしんさんの本の読み方って絶対変ですよね(笑)。
かまど:そこは共感してないんだ(笑)。
みくのしん:たしかに自分でも「こいつおかしいな」って思いますよ。でも、かまどと一緒に読んだら、みんなこうなると思う!
篠崎:そうかなぁ。まぁ本を人と一緒に読むことがまずないですもんね。たしかに、誰かと一緒に読んだらああなるのかもしれないけど、それにしても、斬新すぎる読み方してますよ(笑)。
かまど:突然ティッシュをちぎり出したり、ホワイトボードに絵を描き始めたりしてましたよね。
みくのしん:そうしないと、頭でイメージできないことがあるんですよ。文章も一行ずつゆっくり読まないと頭に入っていかなくて……。
篠崎:でも、そんな大胆な読み方をしながらも、ものすごく豊かな想像力で本を読んでいくじゃないですか。私は文を読んでもそこまで想像できていなかったので、すごいなと思っていました。
みくのしん:嬉しい! そういうのって自分じゃ気付けないので、人から言われるとすごく照れるんですよ。
かまど:篠崎さんも、ご自身で気付いてないだけで篠崎さんなりの読み方をしてるんだと思いますよ。読む順番を組み替えて、最後まで読み切ろうとするなんて、みくのしんにはできない読み方ですし。
みくのしん:それは思った! 僕だったら、一回読めない作品にぶち当たった時点で、パニックになってその先に進めないと思う。