ミッシェル・アベフトシ「伝説のギタリスト」と語り継がれる理由 盟友チバユウスケが寄せた言葉とは?

ギタリスト・アベフトシが語り継がれる理由

若いバンドマンたちの憧れ

 前述した通り、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは今現在も数多くの音楽ファンやミュージシャンを惹きつけている。20代前半の若いバンドに取材していて、「ミッシェルに影響を受けた」というミュージシャンは多いし、「98年のフジロックのステージ、観ましたよ」と自慢すると「マジっすか?!」と食いついてくれる。物心がついたときからインターネットを使いこなしてきた彼らは、自分たちが生まれる前のライブ映像を漁りまくり、ミッシェルの虜になり、アベのカッティングに衝撃を受けたというわけだ。

 さらに今年に入り、永久保存版として後世に残すべく始動したデビュー30周年プロジェクト「THEE30TH」が始動。ベストアルバム『THEE GREATEST HITS』(2009年発売)の初のデジタル配信、ライブ映像「WORLD CHICKEN ZOMBIES TOUR/1998.2.1/AKASAKA BLITZ」の4Kアップコンバート版が2月1日(土)19時にYouTubeでプレミア公開されなど、さまざまなアクションが続いている。この動きもミッシェルの再評価・再発見、そして、『アベフトシ/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(復刻版)』が重版につながっているのだろう。

 最後に少しだけ個人的な思い出を。筆者が音楽ライターを始めた頃、アルバム『カサノバ・スネイク』のタイミングでミッシェルの4人に取材する機会を得た。テンパりながらアルバムの感想を話すと、なぜかチバが爆笑し、アベに「君、おもろいね」と言われた。その数日後、新宿御苑前駅のホームでたまたまアベと遭遇し、挨拶すると「おもしろい取材だったよ」と笑顔を向けてくれたことは今も強く印象に残っている。“ステージに鬼がいる”と称されることもあったアベだが、本書のなかで多くのミュージシャンが語っているように、本来はとてもやさしい人だったのだと思う。

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