【ライトノベル最新動向】11月のライトノベルは百合ラノベが満開 「ハルヒ」最新刊ほか「わた婚」作者の新シリーズも

 『豚のレバーは加熱しろ』の逆井卓馬も新シリーズ『よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1-』(電撃文庫)を11月8日に刊行。科学をこよなくAIする高校生たちが日常の謎に挑むミステリであり青春ストーリー。失われてしまった恋愛成就の桜の謎や、密室で消えたハムスターの行方、巨木の呪霊に秘められた物語といったものが繰り出されては、科学的に解き明かしていく高校生たちの活躍を楽しめそう。もうひとつ、初恋についても解き明かされるストーリーも待っていて、読めばキュンとする経験をもたらしてくれるだろう。

 超人気シリーズで、アニメの第2期の放送も待たれる『わたしの幸せの結婚』の顎木あくみによる『宵を待つ月の物語 一』(富士見L文庫)は11月15日発売。魔を退治する神祇官(かむつかさ)の一族、社城家が絶大な権力を持つ街で暮らしている高校生の坂木夜花が、遠縁だからと杜城家の宴会に狩り出され、事故で池に落ちてしまったところを当主候補から無視された。惨めな状況にあった夜花だったが、そこに現れた美しい少年・千歳が彼女の不思議な力を見抜き、術師の仕事に関わらせる。「わた婚」とはまた違った少女の自立と活躍のストーリーとなっていそうだ。

 『座敷童子の代理人』シリーズの仁科裕貴は『識神さまには視えている1 河童の三郎怪死事件』(メディアワークス文庫)を刊行。明治39年の帝都近郊にある川で泳ぎが得意なはずの河童が死体となって発見された。陰陽師の犬神朔が調査に乗り出すがまるで分からない事件の謎。それを、召喚した識神を身に下ろした巫女が誰も知らない鑑識技術を繰り出し解き明かしていく。元警官ならではの作者が鑑識の知識を使い、怪異に挑む異色のミステリだ。11月25日発売。

 11月26日に単行本で登場する『後宮の烏』の白川紺子による『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』(集英社)は、裕福な商家に生まれながら体が弱く、旅館の主人を任されている男性に龍王の値を引く娘が嫁入りするという不思議な展開から幕を開ける退魔ストーリー。夫の琬圭の方は生来の人の良さで問題ごとを抱え込むが、異能の力を振るう小寧の助けも借りて解決していく。強気で高慢そうに見える小寧が、琬圭にまとわりついて病弱の原因となっている悪鬼の類を祓ってあげるところが愛らしい。琬圭にもあるらしい秘密が格差婚に見える状況をどう変えるかも興味を誘われ、早くも続刊を期待したくなる。

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