福岡に行こうとしたら、なぜ富山……あり得ない間違いスマホ依存も原因か 鉄道ファン「風景を見て」
■あり得ない行き間違いが起きる理由
筆者の知人で、福岡県福岡市に行こうとしたが、スマホの検索で「福岡駅」と入れてしまい、富山県高岡市に行ってしまった人物がいる。富山県内を走る「あいの風とやま鉄道」には「福岡駅」があるからだ。対して、福岡市には福岡駅がなく、「博多駅」が中心駅なのである。にわかには信じがたく、「そんなのあり得ないだろう」とツッコミを入れたくなる。しかし、そんな「あり得ない」行き間違いが起きているという。
様々な理由が考えられるが、その一つが、現代人がスマホの検索機能に頼りきりになってしまっていることだ。一文字でも打ち間違えたり、間違った駅名を入力してしまうと、目的地とは違うルートを提示されてしまうのだ。スマホの予測変換の機能があるせいで、間違った行き先を入力してしまう人もいるのではないか。鉄道ファンの男性がこう話す。
「特に地方在住者は車移動が主体なので、鉄道なんて年に一度も乗らないという人は普通にいます。そんな人にとって、鉄道はかなりハードルが高い。旅行に慣れていない人が、『あり得ない』場所に行ってしまうのは、起こり得ることです。京セラドーム大阪に行こうとして、滋賀県の“京セラ前駅”まで行ってしまう例は実際に起こっているそうですからね」
■スマホの言いなりになっているのか
ちなみに、京セラドーム大阪の最寄り駅は、大阪メトロ長堀鶴見緑地線のドーム前千代崎駅、もしくは阪神なんば線のドーム前駅が該当する。対する近江鉄道の京セラ前駅は、長閑な風景の中に建つ駅である。車窓でも見ていたら、おかしいと気付きそうなものだが……という筆者の疑問に、鉄道ファンはこう話す。
「いや~、僕は車窓をいつも見ていますけれど、電車の中でみなさんスマホの画面ばかり見ているでしょう。東京メトロの霞ケ関駅と、東武東上線の霞ヶ関駅はよく間違われると言うけれど、風景を見ていればそもそも間違いっこないと思う。東京メトロはそもそも地下ですから。それでも、間違っちゃう人がいる。移動前も、移動中も、スマホに依存している現代だからこそ起こってしまう間違いだと思いますよ」
そもそも、都道府県の位置を正確に覚えている人がどれだけいるか、疑わしい。「あり得ない」行き間違いはだからこそ起こり得る。スマホに頼りきりで、スマホがなければ移動ができない―― そんな人は増えていると思われる。
何よりも最大の問題は、現代人がスマホを信じ込みすぎて疑おうとしないことである。そもそも、スマホの検索も完全なものではない。筆者も使っていて痛感するが、たまに「どう考えてもこれはおかしいだろ」という、奇妙なルートを提示されることがある。スマホの言いなりになりすぎるのはよくない。行動する前に、まずは自分の頭で考えるように心がけるべきではないだろうか。
なお、時刻表の定番である「JTB時刻表」には、毎号必ず、索引を兼ねた全国の鉄道の路線図が掲載されている。鉄道ファンはこの路線図を眺めているので、駅名や路線に詳しくなるわけだ。 こういったアナログな地図のほうが、駅の位置関係を把握する上では断然便利である。もちろん、この地図を見ていれば、福岡に行こうとして富山に行くようなミスは起こり得ないだろう。スマホに何かと頼りがちな時代であるが、紙媒体の良さをもう一度考え直してみるのもいいと思う。
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