『呪術廻戦』脹相の生き様に衝撃!  実は誰よりも人間らしい“最高のお兄ちゃん”キャラだった?

脹相の生き様からほとばしる人間らしさ

  脹相は受肉を果たした直後、漏瑚たち自然呪霊の味方として行動することを決意した。そして「渋谷事変」にて五条悟封印計画のために多くの一般人を手にかけ、虎杖に対しても重傷を負わせたのだった。

  その残虐な行動からすると呪霊に近い存在のようにも思えるが、実際には呪霊のように人間への敵意があったわけではなく、たんに弟たち、すなわち壊相と血塗の幸せを願って行動していただけだ。しかもそれは壊相と血塗が人間離れした見た目だったため、人間社会では生きにくいだろうと判断した結果に過ぎない。

  そして虎杖が自分の弟だということに気づいた後は、呪霊サイドから寝返り、人間の味方として行動するようになる。その行動原理は1つは弟のため、もう1つは母の尊厳を奪い、自分たちを生み出した羂索への復讐という“呪い”のためだった。

  薨星宮での戦いで羂索と対峙した脹相は、命を捨てて復讐を果たそうとするのだが、九十九由基はそれを許さない。呪いとしての脹相はここで死んだと告げ、これからは“人として”生きろと命じるのだった。

  その言葉通り、薨星宮の戦い以降の脹相は復讐心を見せることなく、ただひたすらに虎杖に寄り添うために生きていく。最期に訪れた別れの瞬間でも、その脳裡にあるのは虎杖を独りにしてしまうことへの心配だけだった。一切の呪いを遺さずに去っていった脹相は、人として、兄としての人生をこの上なくまっとうしたように見える。

  なお、薨星宮で羂索は虎杖のことを未来永劫続く“呪いの連鎖”を引き起こす存在と評していた。脹相はその言葉に激しく反発していたが、実際に自分の人生全てを賭けて、虎杖を呪いから解き放ったとも言える。虎杖にとって、脹相が“最高のお兄ちゃん”だったことは間違いないはずだ。

  そして『呪術廻戦』という作品のテーマと照らし合わせてみても、ただ1人呪いの連鎖から外れていった脹相はきわめて重要なキャラクターと言えるだろう。脹相の最期は、この先の物語にどんな影響を与えるのだろうか。

(c)芥見下々/集英社

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