『ルリドラゴン』なぜ熱狂的ファンが多い? 「ジャンプで日常系マンガをやる」という新しさ

『ルリドラゴン』の新しさと見どころ

 基本的にストーリーマンガは、主人公が何かしらのトラブルに直面し、それを解決するために行動、そしてまた次なるトラブルが襲い掛かる……という展開の繰り返しで物語が進んでいくことが多い。

 『ルリドラゴン』でも、最初は主人公の頭にツノが生え、ドラゴンの娘だと発覚するという衝撃の展開が描かれる。よくある作品なら、ここから主人公が“龍の血族”ならではの使命を突き付けられたり、龍を危険視する勢力が出てきて日常を脅かされたりする展開が待ち受けていそうだ。

  だが同作の場合にはそうは転ばず、ツノが生えても普通に学校に通い、クラスメイトにも何となく受け止められていく。その後のくしゃみがファイアブレスになるという展開も、学校生活を揺るがすほどの大事件にはならず、今まで通りの日常が続いていくのみ。いわば「龍の血に目覚めたけど、意外と身の回りの世界は変わらない」というテーマが一貫しているのだ。

 『週刊少年ジャンプ』には読者アンケート至上主義の文化があるため、テンポよくドラマチックな展開を畳みかけていく作品がほとんど。なおさらスローテンポで少女の日常を丁寧に描き出す『ルリドラゴン』は、異色の存在感を放っているように見えるだろう。

  とはいえ『けいおん!』がそうだったように、日常系マンガではキャラクターの成長や身の回りの変化が一切起こらないわけではなく、むしろその変化をどこまでも丁寧に描くところが魅力とも言える。『ルリドラゴン』に関して言えば、主人公のルリがドラゴンとしての性質に目覚めるなかで、どんな大人になっていくのかという部分が大きな見どころとなりそうだ。

  なお、連載再開のスケジュールとしては『週刊少年ジャンプ』14号から5話分が掲載された後、デジタル版『週刊少年ジャンプ』および『少年ジャンプ+』での隔号掲載へと移行する予定だという。ふたたび動き出すドラゴン少女の日常を温かい目で見守っていこう。

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