「ちいかわ」Z世代になぜ人気? 身に付けたくなる“かわいさ”と“ダーク”な物語の両面性

「ちいかわ」Z世代に人気の理由は両面性?

 Z総研が発表した『Z世代が選ぶ2023年下半期トレンドランキング』で、「流行ったコト・モノ」の5位に“ちいかわ”がランクインしている。ちいかわはこの手の賞でランクインの常連で、安定した人気を見せつけている。実際、町を歩いていてちいかわを見ない日はないほどだ。ぬいぐるみをバッグに着けた女子高生は多いし、ゲームセンターに行くと、ちいかわのグッズがあふれている。

ちいかわの魅力はつい手に取ってしまう「完成された造形」

 ちいかわは、漫画家・ナガノが2020年からTwitter(現X)で連載を開始した漫画『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の主人公である。その凄さはキャラクター単体の人気が圧倒的に高い点にある。その独特の世界観と大人にもハマるダークで考察好きを魅了する熱心な漫画のファンからも評価が高いが、漫画を一度も読んだことがなくても、グッズを手にしてしまうだけの魅力があるのだ。それは、ナガノの圧倒的な造形力の高さにあるのではないか。

 記者はZ世代の文化を取材したときに、女の子がよくちいかわのぬいぐるみを身に付けているので話を聞いたところ、彼女たちの多くはちいかわの漫画を読んだことがないのだ。曰く、「何となくかわいいから」という気軽な感覚で公式のショップで購入したり、ゲーセンのクレーンゲームでゲットしたり、メルカリなどのフリマサイトで入手したりしているのだ。

キャラ人気を支える“ニワカ”の存在

 こういう層は熱心なファンからすればいわばニワカなのだが、キャラクターの人気が拡大するためにはニワカの存在が極めて重要なのである。ふんわりした感覚で好きになってくれる層、とでも言えばいいだろうか。多くの人気キャラクターはこうした人たちによって支えられているのである。

 例えば、ディズニーのキャラクターグッズを身に着けたり、ディズニーランドに行っている人の中で、アニメまでしっかり見ている人はどれだけいるだろうか。意外にも少ないはずである。スヌーピーやムーミンや、最近ではカードゲームが人気になっているポケモンなども同様である。ポケカを熱心に語るYouTuberでも、ポケモンのゲームはプレイしていなかったり、アニメを見ていない人は多いのではないだろうか。

 そうした人々であっても、キャラクターそのものの造形が魅力的であれば、グッズなどの購入の動機につながる。こうした購買層をいかに増やすかが、キャラクタービジネスを成功させるうえで重要なのである。ちいかわの場合、漫画そのものの評価が高いだけでなく、キャラクター単体でも人を引き付けるほど魅力が高い。漫画とキャラ、その両面で傑出した作品は唯一無二である。ひょっとすると、ちいかわは10年後、20年後も支持を集めるキャラクターになり得るのではないだろうか。

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