「単行本の値段高い!」漫画『マネマネにちにち』SNSの声に担当編集「異例の釈明」裏にある悩ましい胸の内

「単行本が高い!」担当編集者が異例の釈明

 物価高騰が続くなか、今月12日にはマクドナルドがメニュー価格の値上げを敢行し、大きな話題を呼んだ。その翌日、X上では漫画の価格に関する、あるポストが注目を集めていた。発端は、ゲッサンで連載中の山本崇一朗『マネマネにちにち』(小学館)の担当編集者であるIT(@1ta8ma310)氏が13日に投稿したポストだ。

「値段が高い!」の声に担当編集者が釈明

『マネマネにちにち』(山本崇一朗/小学館)

「『マネマネにちにち』の価格が高いとのポストを目にすることがありますが、確かに935円(税込)の価格は、ゲッサンの他タイトルと比べても高い設定です」

 そう始まるIT氏のポストは、前日に発売された『マネマネにちにち』第1巻の価格設定について説明する内容だ。カラーページの4色印刷はモノクロの1色印刷よりもコストが高いこと、製本や作品内容との兼ね合いから4色刷りのページを増やす必要があったこと、重版時のコストも価格に含まれていることなどを挙げ、通常よりも高い価格設定について読者に理解を求めた。


 現在、ゲッサンのB6版単行本の標準的な価格は、770円(税込)又は792円(税込)。『マネマネにちにち』の935円(税込)は、143円又は165円高いことになる。IT氏のポストは概ね好評であり、投稿には多くの賛同や励ましのリプライが寄せられている。しかし、担当編集者が自ら単行本の価格設定の経緯を発信した理由は何だったのか。IT氏に聞いた。

 「(単行本のページが)カラーで掲載されていることは中面を開いてみないとわかりません。SNS上などで価格について言及されている方々へのご説明という意味に加えて、書店で価格を見て購入を迷われる方や、ECサイトでの購入を考えている方への購入動機になればという意味も含めてポストをした次第です」(IT氏、以下同)

 カラーページの有無を知らずに価格に触れる読者に、せめて説明を尽くしたかったというのがポストの真意だという。担当編集者が単行本の価格を説明するケースについて、「あまり聞いたことも目にしたこともないように思います」とIT氏は述べる。今回の投稿は異例の決断だったようだ。

 一方で、悩ましさも滲む。

 「紙代や印刷代をはじめとするコストの関係で徐々に値段は上がってしまっていますが、
漫画誌や漫画単行本は最も気軽に楽しんでもらえる媒体のひとつであってほしいと思っています。漫画好きのいち読者としては、あまり価格が上がっていってほしくないというのが本音ではあります」

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