『ちいかわ』は『進撃の巨人』『まどマギ』よりも怖い? ダークファンタジーとしての強度

『ちいかわ』は『進撃の巨人』より怖い?

 SNSで人気が広がり、アニメ化もされている漫画『ちいかわ』。かわいらしい見た目とは裏腹に、その本質が「ダークファンタジー」であることをご存じでしょうか。

 つい最近までちいかわを「かわいいだけ」の作品だと思って避けていた筆者は、その闇の深さを知ってあっという間に虜になりました。

 この記事では、ダークファンタジー好きの人にこそ知ってほしい『ちいかわ』の闇を2点ピックアップして解説。『進撃の巨人』や『魔法少女まどか☆マギカ』との類似点を踏まえつつ、実は「全然かわいくない」『ちいかわ』の魅力に迫ります。

昨日の友は今日の敵? 自分にも迫る「怪物化」の恐怖

 敵を討伐したり、草むしりをしたりして生きるためのお金を稼ぐちいかわたち。本作のなかでも特に恐ろしいのが、自分や仲間が敵に変化してしまう可能性を示唆するストーリーです。

 あるエピソードでは、ちいかわと似た見た目の怪物「キメラ」が「こんなになっちゃった……」と言いながらちいかわに襲い掛かる様子が描かれています。

 この回が投稿されたのは、X(旧Twitter)に『ちいかわ』の公式アカウントが開設されてからわずか1カ月後の2020年2月。

 それまではちいかわやハチワレ、うさぎを中心としたカオスでかわいい投稿が多かったこともあり、突然のキメラの登場と不穏な言葉はファンに衝撃を与えました。

 「怪物化」と聞いて思い浮かべるのは、魔女から世界を守っているはずの魔法少女が魔女に変わる展開が衝撃的だった『魔法少女まどか☆マギカ』。

 正義を貫き通していた友人、そして主人公までもが魔女に転じてかつての仲間に攻撃を浴びせるストーリーは、萌え系と評されていた作画とのギャップも相まって、本作をダークファンタジーの名作と言わしめる大きな要因となりました。

 コンテンツが日々大量に生み出されており、ただかわいいだけの作品では生き残れない現代。味方が敵へ転じる絶望は、作品に「深み」を出すために必要だったのかもしれません。

 ちなみに、この壮絶なキメラのエピソードは朝7時40分頃から始まる『ちいかわ』のTVアニメでもしっかり放送。アニメではキメラが爪を出すシーンが残像つきで迫力満点に描写されており、ファミリー向け作品として迎合しない本作の強い意志が示されています。

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