『東リベ』天竺編で存在感高まる「黒龍」とは? 初代総長・佐野真一郎から“引き継がれた思い”を考える

『東リベ』黒龍の存在感

 アニメ『東京リベンジャーズ』(原作:『東京卍リベンジャーズ』)に欠かせないチームといえば当然、主人公の花垣タケミチ、そして作品を象徴するキャラクターであるマイキーこと佐野万次郎を中心とする「東京卍會」……なのだが、物語の引き金となる「黒龍」(ブラックドラゴン)をなくして本作は語れない。佐野真一郎が実の弟・マイキーのために作ったチームである。

 伝説と呼ばれ、崇められた黒龍に対し、熱き想いを抱くのが「イヌピー」こと、乾青宗(いぬい・せいしゅう)という男。「ココ」こと幼なじみの九井一(ここのい・はじめ)に難色を示されても揺るがない意志で、強い執着を見せるのだ。その存在感の源泉はどこにあるのか、本稿では、物語の鍵を握る「黒龍」についておさらいしておきたい。

黒龍とはどのようなチームなのか?

 冒頭でも説明した通り創設者は佐野真一郎、ここが初代黒龍総長にあたる。一代目はそうそうたるメンバーで伝説を残し、大きな注目を集めたのだが……黒川イザナが八代目総長に就任してからは空気が一変。犯罪行為にも手を染める半グレ集団となってしまい、当初とは大きく異なったチームへ変貌を遂げる。

 そこから現・天竺幹部の班目獅音(まだらめ・しおん)が九代目総長を受け継ぐが、東京卍會の手により壊滅。一度は勢いが消えたチームだが、イヌピーがきっかけとなり復活。10代目に柴大寿(しば・たいじゅ)を迎え、黒龍は再始動する。

乾青宗と黒龍の関係

 一度は崩壊したチームなのに、なぜイヌピーは自身がボロボロになってでも再興させたかったのか。黒龍の蘇りはイヌピーの動きによるもので、彼は“真一郎の作った黒龍”に大きな憧れを抱いていたのだ。初代総長への尊敬、熱き仲間たち。男同士の深い絆に胸を打たれてチーム入りを果たすものの、その時の総長はイザナである。思い描く理想とは程遠く、側近を務めながら悪へ染まり、一度は社会と断絶させられてしまう。

 少年院での日々を終えると黒龍はすでに壊滅状態だったが、彼の心の火は消えぬままだ。出所後もチームへの強い執着を見せ、自分の手で復活させたがる姿を見たココが止めに入ったほど。「黒龍など忘れた方がいい」と幼馴染より忠告を受けても、素直に受け入れられないほどイヌピーの初代への憧れは大きかった。

 意を決した大寿とのタイマンの末に敗れ、10代目総長へ命を預けるものの、またも理想とはかけ離れた形の集団へ。大寿が失脚し、黒龍は見事に解体された。それでも一人の男はまだなお再興を図っている……。

黒龍への想いと命を預ける決意

 イヌピーの想いはただ一つ「真一郎の創った初代黒龍を再興させたい」。彼はただチームの名前にこだわるのではなく、あくまで真一郎が手掛けた伝説のチームを輝かせたいだけだ。

 いわば、八〜九代目の行為はかつての黒龍に泥を塗るのと同じこと。十代目の在り方も描いた理想像とは大きく異なった形だ。思い入れが強いものの、走り回っても思い通りにはいかぬ展開にイヌピー自身も苦しんでいる状態だった。

 そんな時、熱い気持ちを汲み取ったタケミチは、東京卍會壱番隊隊長と11代目黒龍総長の兼任を宣言。全てを救うべく立ち上がる頼もしい姿勢には、きっと誰もが胸を打たれたはずだろう。乾青宗という男も、まさにその1人である。

 今までのイヌピーはココ以外の理解者をなかなか見つけることができなかった。また、真一郎の影を重ねる人物と出会ったのはタケミチが初めて――。まるで心の底から尊敬するヒーローが再び現れたかのようだ。

 強い憧れは壱番隊隊長、そして11代目黒龍へと就任した花垣タケミチへの強い忠誠心へと変わりゆくのだった。

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