『東京卍リベンジャーズ』はなぜ“ヤンキー文化”に馴染みのない読者に共感された? 漫画編集者が語る、主人公・花垣武道の存在感

『東京卍リベンジャーズ』共感の要因

 人気漫画『東京卍リベンジャーズ』が、11月16日発売の「週刊少年マガジン」で幕を閉じることが発表された。“ヤンキー漫画”として異例とも言える、幅広い層を巻き込んだ大ヒット作になったのは、推し文化にも通じる「キャラクター」の魅力と、作品が持つメッセージによるところが大きいだろう。

 漫画編集者で、『コロナと漫画~7人の漫画家が語るパンデミックと創作』などの著作で漫画評論を展開する島田一志氏は、『東リベ』のキャラクター人気について、次のように分析する。

「複数の人気キャラクターが戦う“集団バトル”という構造が少年漫画の王道になったのは車田正美以降と思われますが、さらに遡ると、山田風太郎の『忍法帖』シリーズや、横山光輝『伊賀の影丸』にその原型を見ることができます。“ならずものたちが集まり、大きな目的のために戦う”というのは『水滸伝』的と言ってもいいと思いますが、違うのは“誰の物語か”が明確で、主人公がきちんと魅力的なことです。その意味では、むしろ劉備玄徳を主人公に据えた『三国志』に近いかもしれません」

 多くの人気キャラクターが存在しながら、主人公がどっしりと存在しているからこそ、ブレずに伝わる物語になる。そのなかで、“ならずもの=不良”たちの姿が、年齢性別を問わず、多くの読者に共感されたのはなぜか。

「あの作品で和久井さんが描いた『不良』とは、いわゆる反社会的な行為を行う存在ではなく、『何物にも縛られない、自由なアウトサイダー』というふうに捉えると良いかと思います。そして、東京卍會(トーマン)とは、彼らを縛りつけるものではなく、彼らが安心して帰っていく“場”なのではないでしょうか」

 作中屈指の人気キャラクター・マイキーこと佐野万次郎は、まさに「何物にも縛られない、自由なアウトサイダー」を志向する少年たちに“帰る場所”をつくった存在だろう。その“闇堕ち”が不良行為の恐ろしさを強調しており、武道はそれを正すため、悲しみを背負いながら戦っていく。その姿から伝わるメッセージが『東リベ』の土台にあると、島田氏はまとめた。

「誰にでも、多かれ少なかれ、あのとき、ああしていたら、という後悔の気持ちはあるはず。だからこそ、過去に戻ってがんばる武道の姿に、ヤンキー文化に馴染みのない、多くの読者も共感したのではないでしょうか。でも、実際はタイムリープすることはできない。ならば、“今”を懸命に生きよう。『東京卍リベンジャーズ』は、そういうことさえあらためて考えさせてくれる作品だと思います」

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