実写ドラマ『ONE PIECE』の知る人ぞ知る小ネタ ファンが沸いたまさかの登場人物とは?

実写版『ONE PIECE』の小ネタ

 世界中でデイリー1位を獲得する大記録を打ち立て、海外制作の実写作品としては史上最大のヒット作となった実写版『ONE PIECE』。配信開始から1ヶ月足らずで続編の配信も決定した本作ヒットの背景には、なんといっても制作のこだわりの存在があるだろう。

 そこで今回は実写版『ONE PIECE』に散りばめられた小ネタについて、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞いた。

第1話で感じる原作愛

「実写版『ONE PIECE』には、挙げだしたらキリがないほど小ネタが詰め込まれています。1話だけでも本当に沢山あって、代表的なのはゾロの初戦闘シーンです。過去にゾロがバロックワークスのMr.7を倒したことは原作で語られていましたが、本当に少し言及された程度で、外見もSBSで軽く描かれただけでした。その場面でゾロの物語が始まったのに、一気に作品に引き込まれた人も多いのではないでしょうか。また吹き替え版ですがアルビダの船のシーンにも、注目ポイントがありました。実はローの声優をしている神谷浩史さんは、新人時代にアニメの序盤で海賊Aの役を演じています。そして実写版でも、似たようなシーンで海賊A役にキャスティングされているんですよね。この細かい仕掛けからも、原作をリスペクトしている遊び心が非常に伝わります。他に若いクロコダイルだと思われる人物が女性だったり、ルフィの幼少期のシーンでビンクスの酒が流れていたり、1話だけでも興味が湧くシーンが目白押しです」

セットに散りばめられた仕掛け

「セットや物に目を向けると、より深い原作とのリンクを感じられます。例えば、ルフィが樽に入るシーン。原作とは違い、この樽には魚が入っていました。そして樽のラベルには、剥がれている部分もありハッキリ読めないのですが、英語表記で『ギョルズ〜』と書いてあります。原作でルフィがゴムゴムの実を食べた後に買い物をした魚屋の店主の名前は、ギョルさんなんです。つまりルフィは、彼の店から樽を持ってきたんだろうなというのがわかります。作中では何度もルフィやゾロが着替えるんですけど、その服も基本的に原作や単行本の表紙、カラーイラストに登場した物でした。途中で登場する手配書には、ベラミーやキャベンディッシュなど、未登場の有名キャラの名も。ファンブックでしか明かされていない情報も盛り込んでいて、制作の本気度が伝わる仕掛けだらけです」

正確な地形

「実写版『ONE PIECE』では、地形にも相当気を配っているようです。ゾロがMr.7と戦っていた島の名は『シクシス島』。この島はエースがフーシャ村を出た直後に上陸した場所で、原作には登場せず『ONE PIECE novel A』で描かれています。そこが1話から登場して、こんなマニアックな所までやるんだと驚きましたね。また冒頭の地図には『KUMATE ISLAND』と記された島があります。『クマテ族』は、扉絵連載『バギー一味冒険記』でリッチーたちを鍋で煮込もうとする民族。そこはシェルズタウンから近いのもわかっていて、地形的な矛盾もありません。『KUMATE ISLAND』が動物の肉球のような形をしていて、それは原作でも描かれていない情報でした。地図にはナミの故郷と思われる、『OYKOT KINGDOM』の文字が。上記したように実写版で新情報が明かされていることからも、『OYKOT』の綴りが『TOKYO』をそのまま反対にしている新事実に、何か勘繰ってしまいますよね」

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