『ONE PIECE』実写化で再注目! アルビダ&バギーが担った重要な役割とは?

『ONE PIECE』アルビダ&バギーの役割

 Netflixによりついに実写化が実現し、いま世界のエンターテインメント市場を席巻している『ONE PIECE』。このドラマが物語のベースとしているのは、原作マンガの11巻あたりまで。つまり主人公のルフィが対峙するのは、原作でも最初期のほうに登場する残酷で魅力的な敵キャラクターたちだ。これが実写化に際しての改変により、それぞれが原作において持っていた“役割”や“意味”が凝縮したかたちで反映されている。

 本稿では第3巻までに登場しルフィに敗れ、のちに徒党を組んで再登場するアルビダとバギーの存在にフォーカス。この者たちとの出会いと闘いのなかに何が描かれていたのか、原作に立ち返り改めて読み解いてみたい。

 ルフィが船出をしてから出くわす順でいうと、“金棒のアルビダ”、“斧手のモーガン”、“道化のバギー”の並びだ。モーガンの存在への言及はまたの機会にするとして、ここではアルビダ&バギーとその周辺についてのみ言及したい。まず最初に、『ONE PIECE』におけるこのふたりの役割とは何だったのだろうか。 

 その最たるものは、本作の主人公であるモンキー・D・ルフィというキャラクターを読者に周知させることだろう。マンガでもドラマでも同様に、アルビダはルフィに瞬殺される(正確には死にはしない)。ルフィは海賊として海に出るまでのあいだ、10年間も鍛えてきたのだ。彼は強い。しかも、コビーをはじめとするアルビダの部下たちが彼女を恐れる描写があることにより、ルフィの強さはより強調されるわけだ。

 いっぽうのバギーはというと、“道化”というだけあって、そのコミカルなキャラクターが本作に“笑い”を持ち込んだ。基本的に少年マンガ特有のくだらないギャグのためドラマ版ではこのあたりが抑えられているが、原作ではこれでもかとたたみかけてくる。ルフィとのノリツッコミの関係は漫才のようでもあり、のちに特別なパートナー関係を結ぶことにも納得である。原作の『ONE PIECE』はバギーの登場によって、シリアスとユーモアが同居した緩急自在な作品であることを証明しただろう。

 そんなアルビダとバギーには、マンガでもドラマでも共通点がある。それは、非常に海賊的な海賊だということ。ふたりとも部下のことを仲間ではなく、自身の支配下にある存在だとみなしている。ほんの些細な粗相も許さず、その場で過剰な制裁を加えることもしばしば(ターゲットのほとんどが死んでいるだろう……)。それに原作ではバギーが占拠した町の住民は避難しているが、ドラマでは鎖に繋がれた奴隷として描かれている。善良な人々の生活を平気で蹂躙する人間だと原作でも描かれているが、いずれにせよ彼は冷酷な支配者なのだ。このキャラクターを端的に示すならばドラマの描写のほうが正解で、時間をかけて残虐さを描くならばマンガのほうが正解だろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる