読み応えも重さもヘビー級の「分厚い本」文庫は京極夏彦が1408ページでトップ 漫画では巨匠が描いた1005ページの名作といえば?

巨匠が描いた「分厚い」名作

分厚い文庫本は迫力満点

 コミックマーケットの紙のカタログは、その厚みと重さゆえにしばし“鈍器”や“漬物石”などと呼ばれていた。分厚く、しかも重すぎる本は辞典やハードカバーの本には比較的多いが、なんとコンパクトであるはずの文庫本にも、鈍器として使えそうな重量級の本があるのだ。

 Amazonのデータをもとに、分厚い文庫本について調べてみた。重量級の本と聞いて真っ先に思い浮かぶ作家といえば、京極夏彦ではないだろうか。講談社文庫から出版されている京極の本はいずれも分厚いものばかりなのだが、京極の本の中でも厚さでトップなのが『絡新婦の理』(講談社文庫)で、なんと1408ページもある。さすがというか、貫録を感じさせてくれる。

 ちなみに、ライトノベルでは『とある魔術の禁書目録 外典書庫(1)』(KADOKAWA)がトップで、980ページのボリュームだ。見た目はまさに魔術書を思わせる迫力である。

漫画本の頂点はあの巨匠の作品!

 では、現在発行されている(入手可能な)漫画の文庫本で、もっとも分厚い本は何だろうか。有力な説のひとつが、戸川幸夫・原作、矢口高雄・作画の『野性伝説 羆風/飴色角と三本指』(山と溪谷社)で、1005ページである。矢口高雄と言えば、ご存じ『釣りキチ三平』の作者だ。

 大正4年(1915)に北海道苫前村で起こった歴史的な獣害、三毛別羆事件を題材にした作品であり、表紙に描かれた羆の絵がインパクト大である。文庫本なのにこの迫力なのだから、矢口の画力の高さを感じずにはいられない。漫画本編でも矢口の緻密すぎる作画をじっくり堪能できる。

 分厚い漫画本は文庫本以外では多数存在するが、他にも入手可能な1000ページ越えの漫画の文庫本があれば、ぜひコメントで教えていただきたい。

紙ならではの所有欲が満たされる

 分厚い本の魅力は、なんといっても所有欲を高めてくれる点ではないだろうか。視覚的にもボリュームがわかりやすい。そして、本棚に一冊でもあると目を引くし、分厚い本ばかり並べたらインスタ映えする本棚が作れそうだ。電子書籍ではなかなか体感できない紙の本の魅力を、存分に味わわせてくれる存在である。

 そして、読み終えたときの達成感も大きいはず。まるで登山をやり遂げたあとのような爽快感を味わえるだろう。今年の夏休みはぜひ、分厚い文庫本の読破に挑戦してみてはいかがだろうか。

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