『鬼滅の刃』鬼殺隊の剣士たちが目指した“夜明け”が意味するものとは? 「大正」という時代設定を考察

『鬼滅の刃』の時代設定を考察

鬼殺隊の隊士たちが目指す“夜明け”が意味するもの

 ただし、“似た者同士”ではあるのだが、鬼殺隊の隊士たちと鬼たちとは、決定的に違う点が1つある。それは、前者が、あくまでもこの戦いが済めば刀(=旧い時代)を捨ててもいいと考えているのに対し、後者は、永遠にいまのままの状態で生き続けたいと願っているということだ。

 そう、鬼殺隊の隊士たちが、常に“夜明け”(=未来)を目指して戦い、鬼たちがそれを恐れるのは、ある意味ではそんな両者の齟齬(そご)の表われであるともいえるだろう。

 いずれにせよ、吾峠呼世晴が『鬼滅の刃』で描いたテーマの1つは、“時代の変遷”であった。そして、大正という過去と未来が混在する狭間の時代の中で、変わるものと変わらないものがあるということを改めて世に知らしめた。では、「変わらないもの」とは何か。さすがにそれをここで書くような野暮な真似をするつもりはないが、鬼たちがいなくなった「現代」を舞台にした最終話――そこに描かれている主要キャラの子孫たちの姿を見れば、一目瞭然である。

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