「東リベ」ロスに朗報となる? フルカラー短編集から広がる新作への期待


 『東京卍リベンジャーズ』フルカラー短編集の第2弾――『STAY GOLD』(和久井健/講談社)が発売された。収録されているのは、テレビアニメシリーズのBD&DVD特典として描き下ろされた短編群であり、いずれもこれまで単行本未収録だった作品だ。

■スピンオフ作品で際立つマイキーの男気

 『東京卍リベンジャーズ フルカラー短編集2 STAY GOLD』に収録されているのは、以下の8本(※)。

 BD&DVD特典のブックレットは全6巻だが、そのうちの1・2巻には2話分が収録されている。

番外編#1「The wounded tiger」
番外編#2「Wings to tiger」
番外編#3「Have a tiger by the tail」
番外編#4「Ride a tiger」
番外編#5「Be back on their feet」
番外編#6「Take a dare」
番外編#7「俺とエクスカリバー」
番外編#8「First blood」

 いずれも、佐野万次郎、場地圭介、羽宮一虎、松野千冬ら、『東京卍リベンジャーズ』の主要キャラたちの青春の日々を描いたスピンオフであり、“不良集団「東京卍會」結成前夜の物語”としても興味深い内容となっている。

 とりわけ注目すべきは、羽宮一虎を主人公にした物語で描かれている「マイキー」こと佐野万次郎の男気だろう。彼は、(かつて母親に捨てられた異母妹・エマに対してもそうだったように)一度守ると誓った人間については全力で守り通そうとするのだ(注・エマとのエピソードは、フルカラー短編集1巻『SO YOUNG』および『東京卍リベンジャーズ』14巻に収録されている)。

 むろん、こうしたマイキーの姿は、『東京卍リベンジャーズ』本編でも繰り返し描かれているものだが、大きな物語の流れから外れた「スピンオフ」という形であらためて見せられると、これまでとはひと味違った感動が込み上げてくるといえよう。

 番外編#4の最後で、それまでなかなか仲間たちに心を開こうとしなかった一虎に、場地はいう。

オレらは
群れてるわけ
じゃねぇよ

ただ

仲間が
傷ついたら
全力で守る

それだけ
なんだ
〜番外編#4「Ride a tiger」より〜

 そう、これが、「東京卍會」の強さの秘密である。そして、それをもっともわかりやすい形で体現しているのが、マイキーというカリスマなのではないだろうか。

■『東京卍リベンジャーズ』は終わらない?

 また、この番外編のシリーズでは、本編ではあまり深く掘り下げられなかった、羽宮一虎や林田春樹、林良平らのバックグラウンドがよくわかるようにもなっている。これもまた、スピンオフならではの醍醐味の1つだといっていいだろう。当たり前の話だが、物語が始まる前も、そして、幕を閉じた後も、登場人物たちの“人生”は続いているのだ。

 なお、現在、テレビアニメシリーズの第2期(「聖夜決戦編」)が放送中である。そういう意味では、もしかしたら近い将来、この第2期がBD&DVD化された際には、ふたたびその特典として番外編の新作が描かれることもあるかもしれない。

 周知のように、『東京卍リベンジャーズ』本編はすでに完結しているわけだが、作品世界は、これからも広がり続ける可能性があるといえるだろう。

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