『1年で億り人になる』著者・戸塚真由子が語る、資産家になってわかった“本当に大切なもの”

『1年で億り人になる』著者インタビュー
戸塚真由子『1年で億り人になる』(サンマーク出版)

 世相が不安定なこともあってか、昨今は投資や資産運用に関する情報へのニーズが高まっており、書店では数多くの関連書籍が並んでいる。そんな中、話題を集めているのが、大胆不敵なタイトルが目を引く『1年で億り人になる』(サンマーク出版)だ。

 著者は、紆余曲折の人生を送った後に大富豪との交流を経て、投資の極意を学び、わずか4カ月でFIREを達成したという戸塚真由子氏。現在は資産構築コンサルタントとして、カードローンで借金3000万円を背負った人や貧困女子など、ほとんど資産ゼロだと思える生徒さんを「億り人」にしているという。『1年で億り人になる』は、その挑戦的なタイトルのイメージを良い意味で覆す内容だと評判だ。

 投資に関する実践的なアドバイスのみならず、戸塚氏の波瀾万丈な人生や「本当に大事なものと向き合う」ための考え方も綴られ、投資マニュアル以上の読みものとなっている『1年で億り人になる』について、著者本人に話を聞いた。

ドケチな家庭に育ったことの反動

戸塚真由子氏

――『1年で億り人になる』の売り上げが好調だと伺っています。感想も多く寄せられているのでは?

戸塚真由子(以下、戸塚):驚くほど多くの感想をいただきました。本の最後に私が運営している公式LINEのQRコードが付けたところ、「一獲千金の内容だと思ったら、まともな本だった!」とか「人生観が変わるくらいの衝撃でした!」などの感想、問い合わせが毎日のように届いています。

――タイトルがとても刺激的で、つい手に取ってみたくなります。

戸塚:このタイトルには、さまざまなメッセージを込めました。たとえば、大富豪の「非常識さ」や、将来を不安に思っている読者さんへの「希望」などです。世間では20〜30年の積み立て投資が推奨されることもありますが、その頃一体何歳になっているかを想像すると、ツラい道のりに思えてしまいます。

――「全力で本当のことを伝える」というコンセプトで執筆されたとか。

戸塚:私は物心がついたころから、いつか絶対にお金持ちになると決心していたので、インターネットがない頃から多くの投資本を読み漁り、お金持ちになるための計算をし続けてきたのですが、本当に有益な情報には巡り会うことができませんでした。おそらくですが、投資家と呼ばれる本物の富裕層にとって、良い情報を公開するメリットはありませんから、実際にどうやっているのかはみんな隠してきた。私自身がその世界の住人になって、初めてそれに気付けたのです。本書ではそのような世界の富裕層が本当に実践している方法論を書いたので、怒る富裕層もいるかもしれません。

 私にとってお金の師匠に当たるオリバーにも、この本で何を書くかは伝えませんでした。そうしないと「これはダメ」、「あれもダメ」という感じで何も書けなくなってしまうと思ったからです。とはいえ、担当編集さんが「これを書いたら身の危険が……」とだいぶ削ってくださいましたが(笑)。

――本書に著したテクニックの中で、特に重要なポイントは?

戸塚:「借りてでも、まずは大きいお金を集める」ということです。この考え方は一般的にも知られているかもしれませんが、その重要性はあまり理解されていないと思います。ここに富裕層たちの一番大事な秘密があると言っても過言ではありません。詳しくはぜひ本書もご参照いただけると嬉しいです。

――著書には実践的なテクニックや考え方だけではなく、戸塚さんの自伝的な要素も含まれています。育った家庭の金銭感覚にも驚きました。お小遣いは高校生まで月30円、ヘアスタイルもドライヤー代と美容院代の節約のため、常におかっぱ頭にさせられていたとか。

戸塚:子どもの頃から親が非常にケチで、父なんて「世の中で一番大事なのはお金だ」と断言するほど。家の中にある家具も、ほとんど粗大ごみを拾ってきたものでした(笑)。本で紹介したエピソードはほんの一部で、とても書けないようなドケチエピソードはまだまだあります。とはいえ、家にお金がなかったわけではなく、親の年収は父だけで年収1000万ほど。それなのに、年間100万円も使ってなかったはずです。同級生にも「貧乏!」とからかわれた環境の反動で「世界10位以内の大富豪になる」という夢を持つようになったんです。おかっぱ頭は二度としたくありません(笑)。

――公務員として勤めたり、高級クラブでも働いていたそうですが、その時代のことも改めて聞かせてください。

戸塚:親との仲が悪すぎて実家を出てから、公務員試験を何となく受けたら運よく合格することができました。それから10年ほど働きました。でも、いつ1億円が貯まるかと計算したら、頑張って節約したとしても60歳くらいまでかかるなと。「夢はお金持ち」でしたので、好きで働きたいわけでもないですから、職場に行きたくなくて毎日遅刻していました。17時までの就業時間が苦痛で1日が長かったです。

――浪費が激しかった、というエピソードも紹介されていました。

戸塚:労働のストレスを買い物で晴らそうと、ベンツのリムジンを買ったりしてましたね。というのも、公務員はローンがバンバン通りましたから。その後、お金持ちと知り合おうと高級クラブでバイトをして月100万円ほど稼ぐようになりましたが、毎月200万円は使っていたと思います。親から離れてお金を使えるようになったことが嬉しかったんですね。

 でも、どれだけ働いてもお金がなくて、むしろカードローンやカーローンなどの借金がかさむ一方でした。預金の残高が1000円を切るとATMで引き出せないので、月末はいつも数百円をおろすために窓口に行っていましたね(笑)。今でも気を付けないと、大きい金額が入ると派手に使ってしまうんですよ。1億円入ってきたら、1億円使えたかもしれません。

 ただ、その頃の経験で勉強になったこともありました。高級クラブ時代に衝撃だったのが、ブラックカードで清算するようなお金持ちに限って、イケイケの経営者のイメージではなく、紙袋を持ったオーラがない田舎のおじさんみたいな格好をしていたこと。仕事を聞くと大体「別にしてない」と。なぜお金を持っているのか、詳しくは教えてくれないのですが、ぽろっと「お金はあっても借りるのが大事」と言っていました。「そのお金をどうするの?」という質問には答えてくれませんでしたが、今では、著書で明かしたようにその秘密がわかったので、点が繋がって線になった気持ちです。ちなみにブラックカードは初年度に入会金が100万円くらいかかりますが、本物の富豪にとってはそれすら小銭感覚なのです。

結婚と離婚を繰り返して学んだこと

――高級クラブでの仕事は出会いを期待しての選択だったそうですが、実際に戸塚さんは3度結婚されています。それについては?

戸塚:投資はもともとお金持ちの人がするものと思い込んでいて、お恥ずかしいことですが、女性として不労所得を作るには結婚しかないと思っていたんです(笑)。だから年収や資産額を調べたうえで、相手を選びながら婚活しました。1人目の夫は100万円以上する宝石などをくれる人でしたが、売ればお金になるとはいえ、それは不労所得とは違うなと思いました。2回目に結婚したアメリカ人のエピソードは割愛しますが、まあひどいものでした(笑)。3回目に結婚したのが当時53歳の資産家だったんですけれど、私がはっきり物を言う性格なのでケンカになって警察がよく来たり、しばらく彼が出て行って生活費が払われなくなったり……。周りからは裕福に見えても、私が使えるお金はほぼゼロの状態でした。そんなことばかりだったので、生活保護を申請しようと思ったんですが、夫は年収が1億円あるし、地元で有名な資産家でしたから、役所で「〇〇さんの奥さんだよね?」と言われて申請できませんでした。

――そこから再び自身で働くようになったのですか?

戸塚:はい。始めたのは太陽光関連の仕事でした。目標は夫の月収である約800万円を超えること。苦難の末に、歩合制の特性を活かしてそこには到達したのですが、無理して労働で得た対価だったため、体も心もボロボロでした。リカバリーのために海外旅行をすることでようやくメンタルを保っていたくらいです。年2回の社内コンテストも毎回1位を獲っていましたが、それをキープするのもストレスでした。最後は1位で居続けるために辞めた、という感じです。太陽光事業も先が見えたし、夫とも離婚して長野から名古屋に帰ってきました。

 その時に理解したのは「高収入とお金持ちは違うぞ」ということ。私は営業を頑張って、お客さんも多くいたけれど、元夫は同じ800万円が毎月労働なしで入ってくるんですよ。「私が目指してきたのは今のような自分じゃない」と気付いたのも800万円を稼いだとき。だから元夫のようになるしかないなと。それから「ちゃんと投資を教えてくれる人と出会おう」と思って、次の婚活を始めたんです。

――どのように探されたのですか? 婚活サイト?

戸塚:外国人の方もいる、とあるマッチングアプリです。男性だと年収が3000~4000万円あると人気ですが、1億円以上の方もたくさんいるんですよ。それで1億円以上の投資家の方だけにフィルタをかけて会っていった結果が著書『1年で億り人になる』に書いてあります。大物を釣るには、メッセージやプロフィールの書き方などのコツがあって、それを実践するとアプローチが来るのはお金持ちばかりになります(笑)。

――戸塚さんの答えを追い求め続ける姿勢はすごいです。諦めずに考え続けて、実践を続けていくところが、本書の読みものとしての面白さになっていると思います。

戸塚:この本は失敗したことがない人や、お金に困っていない人には、理解できない点もあるかもしれません。また、お金持ちになる方法というと、FXや仮想通貨を考える人が多いですが、それはギャンブル投資であり、資産がゼロになる可能性もあります。私は本書で著した方法こそ、確実で誰もがウィンウィンになれる投資だと気付くことができました。失敗も多かったけれど、その遠回りは無駄ではありませんでしたね。エジソンみたいに99のダメな方法を全部を試したから、1つの正解に行きついたと言えるかもしれません。

 お金持ちになって月に100万円の収入が別にあれば、本当にやりたい仕事で100円しか稼げなくても満足できるじゃないですか。お金の問題を解決してから、「夢を叶える」のが理想だと思うのです。だから私も今、本を書いてみたり、自作自演の映画を作ってみたり、クリエイティブなことに時間を使えるようになりました。

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