2023.02.05 12:00

『1年で億り人になる』著者・戸塚真由子が語る、資産家になってわかった“本当に大切なもの”

文・取材＝小池直也、写真＝はぎひさこ、ヘアメイク＝中島由起子

本当に大切なものと向き合うために

――夢を叶えようとする人の足を引っ張る「ドリームキラー」の存在について、どのような対策をされていますか。

戸塚：まず、なりたい自分像に近い人を周りに置くようにします。次に、足を引っ張る人は、その周囲も含めて人間関係の断捨離をします。残す判断基準は親とか、自分のことを親身に考えてくれる本当の友人かどうかなどですね。要注意なのは、自分のことを大切に考えてくれる身近な人が一番のドリームキラーに成り得るということ。例えば、野球選手を目指す子どもの将来を思って「そんなことは無理に決まっている」と親が言ったりします。それが厄介なので、お金持ちになるために集中する時は、親しい人ほど一時的に縁を切るのも大事かもしれません。

――異性についてはいかがでしょう。

戸塚：特に女性の場合は、付き合っている男性と同じ価値観になりやすいですね。お金持ちと付き合うとお金持ちになりますし、貧乏な人と付き合っていると大体貧乏な感性になる傾向があります。男性の場合は、付き合っている女性にお金を浪費されてしまう傾向にあります。ちなみにお金持ちは異性を選ぶ時に株みたいに将来性を見ているそうです。10年後どうなるのか、どれだけレバレッジが効くかと（笑）。

　将来性は、その人を1、2年見ているとわかります。頑張りそうな人が全然ダメだったり、地味でエネルギーもなさそうな人が意外とコツコツ頑張って突然ブレイクすることもあります。うまくいく人に共通することを挙げるなら、目の前の小さなことで結果を出しているかどうか、はひとつの基準になるかなと。

――大富豪は「時間＝命」と考えているという話も印象的でした。

戸塚：億り人の時給は高いんですよ（笑）。私の師匠は時給1000万円くらいと公言していて、彼とのアポに5分遅れるということは83万円ロスさせることになります。その上、次からは会ってもらえなくなるので損失は甚大です。また彼はひと月の仕事のアポを1日に詰め込んでいます。それ以外の日は、旅行も遊びもいざとなればキャンセルできる軽い予定しか入れません。すごいチャンスが来たらすぐにつかめるようにと備えているのです。

　だから、私も気を付けるようになりました。今は美容院に行くのをやめて自分でカットしています。電車で行って切って帰ってくる時間って1年にすると数日分になります。よく考えると、実はかなり長いので、自分にとっては生産性がないことにも気付きました。また朝に事務や雑用をやり始めると疲れてしまうので、執筆などのクリエイティブなことは午前中に集中してやるようにしています。宅急便も午後に設定、午前中はWi-Fiもインターホンも切るようにしました。午後にダラダラやるよりも朝の1時間の方が捗るんですよね。その方が自分の夢のために時間が使えるので、最終的に目標に近づきやすいと思います。

――これらを実践してみて、変わったと実感したことはありましたか。

戸塚：資産構築に真剣だったとき、母と大喧嘩して一時的に縁を切ったのですが、やるべきことに目を向けたら逆に仲良しになりました。それは今までやりたくないことに時間を使っていて、イライラして腹が立っていたのだと思います。それからは大事な人のためにかける1時間はもったいなくなくなりました。今は資産構築でも「親孝行しよう」と教えています。

　父に対しても最近まで恨みを持っていました。自分がお金の面で今も昔も苦労しているのは子どもの頃のトラウマのせいだと。でも、3歳くらいまでは父のことを好きだった思い出があります。嫌いになったのは極端に頑固だったからなんですよ。「タバコは体に悪いからやめて」とか「私がいる時に吸わないでほしい」と言っても「慣れた方がいい」と言うようなタイプ。

――その恨みはどのように消すことができたのでしょう？

戸塚：父を許せたのは、またしても今の投資の師匠のおかげでした。彼の父親もギャンブル狂で仕事もしないような人だったのですが「親は選べないけど、どんな悪い親でも自分を育ててくれただけで十分だと思って感謝している」と。その言葉を聞いて、私自身が変わろうと思えました。今となっては、父は私より子どもだったのだと感じます。実は父も幼い頃にお金で非常に苦労して、私には苦労してほしくないという愛情があったのだと今は理解できました。父は病床で、私にお金を残すようにと母に伝えていたんですよね。

　もう亡くなってしまいましたが、やっとわかり合えたという気持ちです。こういう親子のすれ違いは連鎖するものですが、お金の勉強をすることによって、それを断ちきれるんじゃないかなという狙いもこの本にはあります。親を許せるようになると、多くのことがうまくいくようになると思います。本書を読んで、人生を変えようと思ってくださった方がいたのなら、著者としてそれほど嬉しいことはないです。