少女漫画雑誌『ちゃお』がまさかの『ムー』とコラボ 背筋が凍りそうな少女漫画ホラーの内容とは?

「ちゃお」と「ムー」が贈る本格ホラー漫画

 ネットでたびたび「怖い」と話題になるのが、少女漫画雑誌「ちゃお」のホラー漫画である。岬かいりの漫画『笑顔の世界』がトラウマものの怖さということで、Twitterで大バズりしたことも記憶に新しい。

 そんな「ちゃお」のホラー漫画だが、昨年からは日本を代表するオカルト雑誌「ムー」とコラボレーションした『ちゃお不思議クラブ』が連載開始し、話題になっている。本作は「ちゃお」で数々のホラー漫画を描いてきた坂元勲によるもので、「ちゃお」の漫画サイト「ちゃおコミ」で、無料で読むことができる。

 内容は、小学館・ちゃお編集部の隣にある会議室に誕生した部署「ちゃお不思議クラブ」を舞台に、ちゃお読者が編集者となり、世の中の不思議を調査するというもの。第1シリーズは昨年7月から連載が始まった「忍び寄るゴム人間」だったが、2022年12月23日からは新たに第2シリーズ「甦るアラハバキ」がスタートした。

 第2シリーズは土偶と古代文明に隠された伝説を追求する内容だ。作中に登場する、ゴーグルをつけたような顔をした遮光器土偶は、青森県出身の「ムー」三上丈晴編集長の思い入れが深いオーパーツで、「国宝に指定してほしい」とツイートしていたほどだ(あれほど有名な遮光器土偶から国宝が1点もないのが驚きであるが)。

 また、古代文明も「ムー」の王道であり、作中にはナスカの地上絵やピラミッドなど、実にムーらしい題材も描かれている。今後の展開が見逃せない要注目の作品といえるだろう。

少女漫画とホラーは親和性が高い?

 ネットではホラー漫画は健在である。リアルサウンドブックでもインタビューを行っている洋介犬は、社会派ホラーといえるホラー漫画を描き、好評を得ている。そして、かつてはホラーといえば少年漫画の定番でもあった。妖怪や都市伝説などをテーマにした漫画が、必ずと言っていいほど掲載されていた時代もあった。

 筆者が小学生の頃は「週刊少年ジャンプ」で『地獄先生ぬ~べ~』が大人気で、父親の世代は手塚治虫の『三つ目がとおる』や水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』などが話題作だった。「ムー」の大御所ライターで漫画家でもある飛鳥昭雄も、かつては「別冊コロコロコミック」で超能力を扱った漫画を連載していたことがある。しかし、今では少年漫画雑誌に連載されるホラー作品は、全盛期と比べるとだいぶ少なくなったように思う。

 対して、ホラー漫画が健在なのが女性向けの雑誌だ。美少女ゲームの原画家である長岡建蔵がインタビューで話していたように、女性は総じてホラー漫画が好きなのだという。特に、「ちゃお」は小学生女子が主な読者だが、数年前まで「ちゃおデラックスホラー」というホラー漫画だけを集めた増刊号を毎年刊行していた。そして、現在も「ちゃおコミ」でホラーの意欲的な作品が次々に出ていることは興味深い。

胸キュン作品を生み出す漫画家のガチなホラー

 さて、「ちゃお」のホラー漫画からは現在もヒット作品が生まれている。みづほ梨乃の『ショコラの魔法』は看板作品のひとつで、2021年には山口真帆主演で映画化もされた。また、「ちゃお」がユニークなのは、かわいらしい絵柄で知られるあの連載作家陣が描くガチなホラー漫画が読める点である。

 例えば、『12歳』などのヒット作で知られるまいた菜穂や、『極上!!めちゃモテ委員長』のにしむらともこ、『ねこ、はじめました』の環方このみ、さらには映画『ドラえもん』のコミカライズを手掛け、SKE48の浅井裕華の実姉でもあるときわ藍までもがホラー漫画を描いているのだ。いずれの漫画家も、普段の胸キュンな作風とは真逆なホラー漫画を描いている点が見逃せない。「ちゃお」の大人な楽しみ方のひとつといえるだろう。

 寒い冬が続いているが、さらに背筋が凍りそうな少女漫画のホラーの世界にぜひ浸ってみてはいかがだろう。

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