「ようやく喜びの涙をもらえたのが、最新の第6巻が出た顎木あくみさんの『わたしの幸せな結婚』(富士見L文庫)シリーズでしたね。斎森美世が義母と義姉にいじめ抜かれて、追い出さるようにして嫁がされた先は、婚約者候補がすぐに逃げ出すことで知られた久堂清霞という男性の家。ところが美世は持って生まれた純粋さと実直さで清霞と打ち解け相思相愛になっていきます。そこに起こったのが国を転覆させようとする計画で、巻き込まれた清霞は捕らえられてしまいます。苦難の連続を経て事態が落ち着いて、ようやく”夫婦水入らず”で恋愛関係を濃密にできそうです。この作品は、2023年3月にSnow Manの目黒蓮さんが久堂清霞を演じる形で実写映画化され、アニメ化も予定されているので、改めて苦しい思いから生まれる涙や、優しさに振れて流す涙に浸れそうです」
年末年始は「涙恋」作品で、心の洗濯をしてみても良いかもしれない。
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愛知県生まれ、書評家・ライター。ライトノベルを中心に『SFマガジン』『ミステリマガジン』で書評を執筆、本の雑誌社『おすすめ文庫王国』でもライトノベルのベスト10を紹介。文庫解説では越谷オサム『いとみち』3部作をすべて担当。小学館の『漫画家本』シリーズに細野不二彦、一ノ関圭、小山ゆうらの作品評を執筆。2019年3月まで勤務していた新聞社ではアニメやゲームの記事を良く手がけ、退職後もアニメや映画の監督インタビュー、エンタメ系イベントのリポートなどを各所に執筆。
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