【漫画】片想いの彼の家に電話、妄想が膨らんで……「固定電話」時代の恋を描いた漫画がエモい
ーーTwitterで1万以上のいいね数を記録するなど、本作は大きな反響を呼んでいます。反響に関する感想を教えてください。
kera:連絡網の存在は同年代の方の共感を呼ぶものかと思い本作をSNSに投稿したのですが、想像以上の反響をいただきとても驚きました。連絡網が枝分かれしながら広がっていくように、本作がさまざまな方に拡散していったように感じましたね。連絡網のなつかしさと共に、本作が純粋なラブコメディ作品として楽しんでもらえた結果として今回の反響があったのであればうれしいです。
また読者の方からの感想として「自分も同級生に電話するときに親御さんが出て緊張した」といった声もいただくことができ、当時の私だけでなくみんなも同じ心境だったんだなと思いました。
ーー連絡網のなつかしさもさることながら、本作の結末は意外性のあるものであったかと思います。
kera:ラストシーンに関して奇をてらうといった意識はありませんでした。ラブコメディであれば物語の結末で登場人物たちが結ばれる終わり方はお約束かなと思い、本作もラブコメディの王道に沿って話をつくりました。
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
kera:本作は10年ほど前にコミティア(一次創作物の即売会)の出展物として制作した作品です。現代を描いた漫画でも中学生くらいのキャラクターが電話やLINEのようなチャットツールを使用するシーンは見られますが、その多くは自分の部屋にいながらひとりでやり取りをする様子が描かれていると思います。
ただ自分が中学生のころは電話をするために家の固定電話があるところへ行き、家族に「ああだこうだ」と言われながら友人とコミュニケーションをとっていました。自分のスマートフォンで友人と連絡をとることが当たり前になったと気づいたときに、自身の体験をネタにしたら面白いかなと思い本作を創作しました。
ーー印象に残っているシーンを教えてください。
kera:主人公の女の子がありえない妄想を膨らませていく様子が本作の肝かなと思いながら漫画を描いていました。恋心が暴走し可笑しな発想となっていく姿をいい感じで描くことができたので、この場面は印象に残っています。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
kera:自分のいとこは、漫画など絵を描くことが好きなものが多く、幼いころにはみんなで家に集まって絵を描いていました。小学生のころには自由帳に漫画を描いたりなど、漫画を描くことが当たり前な環境で幼少期を過ごしてきましたね。
そのあと1度は漫画を描くことをやめてしまいましたが、成人してからお絵かき掲示板などでイラストを投稿するようになり、再び絵を描くことが楽しくなって自分のホームページに4コマ漫画などを掲載するようになりました。すると少しずつ反響をいただけるようになったので、4コマ漫画などを収めた同人誌を描くようになりました。
同人誌を出展するためコミティアに参加した際、漫画の編集さんから「4コマ漫画を描いてみませんか?」とお誘いいただき、商業作家としても活動することとなりました。
ーー本作をはじめ多くのラブコメディ作品を手掛けているかと思います。漫画を描くなかで意識していることは?
kera:どこにでもいるような子どもでも、彼らなりに一生懸命に生きている。その様子を読者の方がまるで自分の姪っ子や甥っ子、もしくはお孫さんを見るかのように、微笑ましく、愛おしく思ってもらえるような作品を描きたいと思っています。一生懸命に生きる日常の中には異性とのやりとりや恋心を抱くこともあると思うので、コメディの中に少しの恋愛要素があるお話を描いています。
ーー今後の活動について教えてください。
kera:以前はコミティアに出展するための作品を創作することが多かったのですが、最近はそのときに思いついたネタを題材に作品を気軽に投稿するスタイルの方が自分の生活にも合っているかなと思っています。
肩に力を入れず、日常の何気ないワンシーンとか、他の人がわざわざ漫画として描かないようなちょっとした心の移り変わりを表現しながら、ゆるく活動を続けていければと思います。