『明日、私は誰かのカノジョ』いよいよ最終章突入 作者・をのひなおが描きたかったこと

『明日カノ』作者・をのひなおインタビュー

自身の経験により生まれた作風

――お話を伺っていると、ヒロインたちに対する視線が優しいというか、バランス感覚が絶妙ですよね。

をの:たとえば、主人公が悲劇のヒロインとして転落していくだけの話では、『明日カノ』ではないと思うんです。そのあたりのバランスは意識しました。

――マンガアプリの広告で見かけるような、「こんなバカ女がいるぞ」みたいな話ではないと。

をの:私はそう思って描いています。もちろん、読み手の中にはそういう作品と同様に読んでいる方もいるにはいるかもしれないですけど。

――女性キャラクター同士の関係性も細やかで、「女のドロドロを描く」でも「女性の連帯を描く」でもなく、一面的ではないところに魅力を感じます。マンガ家としてデビューする前は、主に女性同士の恋愛を描く「百合」ジャンルの同人活動をされていたと伺いました。

をの:はい、創作百合を描いていました。

――女性同士の感情や関係性に思い入れが深いのでしょうか。

をの:そうなのかな、でもそうかもしれない。それに、たしかに『明日カノ』で、男女の絆みたいなものはあまり描いていないというか、描くにあたって重きを置いていないのかもしれないです。

――『明日カノ』の男女関係は「お金ありき」というか、レンタル彼女やホストなどのサービスに推し活など、お金が間に入る関係が多いですね。

をの:何なら描けるか、何を描くのが好きなのかと突き詰めると、女性同士の関係性とお金の絡んだ恋愛……『明日カノ』は、それで作られていますね(笑)。

――まさに、『明日カノ』を分解したら出てくる要素ですね(笑)。

をの:どうしてそれが好きなのかと聞かれると、どうしてなんだろう。……私の母親はクラブのママをやっていたんです。父親がそのお店のオーナーで……。なので、幼い頃から母親は従業員の女の子たちから「ママ」と呼ばれ慕われていて、お酒を提供して男性を接客する場所にいた。幼心にそれがどんなことかはなんとなく分かっていて、今の作風はそういった経験からきているのかもしれません。

影響を受けた作品は?

――そうだったんですね。ご自身の体験以外で、影響を受けたもの、たとえば好きな漫画作品なども教えてください。

をの:そう、この間、マンガ家さんたちと「好きな漫画」についての話になったんです。そこで真っ先に「手塚治虫先生が好き!」と言ったら、「手塚治虫ですか……?」と意外そうな反応がきました(笑)。

――手塚治虫先生の作品の中でもいろいろありますよね。一番をあげるとするなら?

をの:『ブラックジャック』ですね。本当に大好きなんです。あの、理不尽に終わっていく感じが。

――ブラックジャックは法外な報酬をとる闇医者ですが、お金で動くだけでもないし、患者側も一筋縄ではいかないキャラクターばかりで、ハッピーエンドではない話も多いです。ブラックジャックがどんなに頑張っても救えない命があったり。

をの:そう! なのに、悪人だけがのうのうと生きて終わっちゃったり、救いたい人ではない人が助かったりとか。ほぼほぼ理不尽なんですよね。スカッとする話が全然ないんですよね。

――今、『明日カノ』のルーツがさらに見えた気がします(笑)。

をの:他には冨樫義博先生、諫山創先生も好きです。アニメだと『少女革命ウテナ』も好きで、ドラマは2003年版の『白い巨塔』が大好きなんです。唐沢寿明さん主演の。

――また意外なタイトルが。どのあたりに惹かれますか?

をの:こういう時に言語化できないんですよね。何度も観ているのに、なんかめっちゃ面白いとしか……(笑)。

最終章「No Woman No Cry」について

――最後に、現在、最終章「No Woman No Cry」のプロローグが公開されており、そこでは雪と彼女の母親の関係にフォーカスされるであろうことが予想できます。

をの:これまでも伏線を少しずつ入れていたのですが、最初から雪と親の話になって終わることは考えていました。本当は第4章の後すぐに最終章をと考えていたものの、「まだ描けることがある」と“推し活編”(第5章「洗脳」)ができ、先ほど話したように第4章の反響から第6章が生まれて、ようやく終わらせることができるといった感じです。

――親との関係性の話になるとはいえ、『明日カノ』ですし、「お母さんは私のことを愛してくれていたんだ!」的な、ストレートな和解になるわけもなく……。

をの:そういうのって「フィクション感」がすごくて、ちょっと苦手かもしれないです。

――そうでしょうね。最終章、どんな展開になるのか、いち読者として楽しみにしています。

担当編集:最終章はこれまでのストーリーを遡っていくので、令和に入ってからの時代を振り返る、総括するような物語になるのではないかと。そのために(プロローグを)「海」のシーンから始めたところもあります。読者の方のそれぞれの思い出とともに楽しんでいただければと思います。

をの:連載3年半を迎えていよいよ最終章に突入します。これからも頑張って参りますので、ぜひ最終章を見ていただけたら嬉しいです。

『明日カノ』10月2日(日)まで全話無料で公開中!

最終章開幕を記念し、期間中「サイコミ」アプリ内で『明日、私は誰かのカノジョ』を全話無料で公開中。

【全話無料公開期間】
2022年9月30日(金)00:00 〜 2022年10月2日(日)23:59

【注意事項】
※「サイコミ」アプリ内のみ対象です。
※「先読み」を除いた第1章から第6章までの163話が対象です。

「サイコミ」のダウンロードはこちら
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.cygames.cycomi
App Store:https://itunes.apple.com/jp/app/id1099688273[関田16] 

(c)Hinao Wono/Cygames, Inc.

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