『鯛代くん、君ってやつは。』鯛で海老は釣れるのか? 後輩と先輩のモダモダした感じがたまらんBL漫画

『鯛代くん、君ってやつは。』  後輩と先輩のモダモダ感がたまらんBL漫画

「鯛代くん、君ってやつは……」
思わず、1巻の60ページ目でこのセリフが漏れ出た。

 厳密にいうと1 巻の39ページ目、鯛代くんが「……嫌わないで」としゅんとなり、鯛のイラストがめそめそしているシーンでぞわぞわし始めた。次のページでは「そういう顔もできるんかよ!天使!」って、蛯原先輩と同じようなツッコミを入れてしまった。そして、問題の60ページ目。「濡れちゃう」と少し下を向きながら蛯原先輩の○○(あえて伏せる)をまくり上げているところのセリフで頭がチュドーー-ン(脳内爆発)となってお陀仏になった。(※電子書籍とコミックスではページ数に違いがあるかもしれません)

 「鯛代くん、君ってやつは(な、なんてポテンシャルを隠し持っていたんだ……)」

 ストーリーとしては、一見地味でコミュ障な後輩鯛代くんとツンデレが可愛い蛯原先輩と、愉快な漫研メンバーとの(漫画イベントや合宿などでBLフラグが立ちまくりな)日常を描いたラブコメ漫画だ。

  正直いうと、筆者は表紙の鯛代くんの可愛さに釣られた。これはあざとかわいいやつだと。「鯛代くんって、ふわふわ可愛い光属性の子なのかな~ふふふ」と読み進めてみると、あれれ???冒頭では、鯛代くんの顔面が絶叫ホラーみたいになっているし、某少年ジャ〇プ漫画の、なんとかリーダー伝のキャラみたいな先輩が登場するし……。一瞬「ギャグBLか~表紙につられた~」と思ってしまった。だけど、このときの自分をぶん殴りたい。

  本作はギャグ要素多めで、基本顔もそういうテイスト(例えば南国少年パプワくんみたいな目とか)ではある。ところが、心がくすぐられるようなピュアなやりとり、モダモダして翻弄されるようなシーンでは、ときおり顔の輪郭と目元が、キリッと繊細なタッチになるというか。表紙のようにとにかく作者が本気出してきた顔面がぐわっとくるので、そのギャップにやられて毎度毎度しぬ。普段の筆者はBL漫画を1冊(約200ページ)30~40分くらいでじっくり読む派だが、本作は鯛代くんと蛯原先輩の可愛さをじっくりなぞるようにして眺めたり、セリフを反すうしたりして心に刻みながら読んでいると、余裕で1時間以上かかる。しかも3日置きくらいに読み返してしまう中毒性。とんでもない漫画だ。

  鯛代くんのいつもは大人しくて控えめで、蛯原先輩にハッキリ拒絶されると「しゅん」となって風で飛んでいきそうなのに、隙のある先輩をみてだんだん独占欲が見え隠れしてつよつよになるところ、うわあああぁああああぁぁぁあああぁぁああああ(歓喜の叫び)って心の中がうるさくなる。度々、鯛代くんがキャパオーバーとなって蛯原先輩が寸止めくらうところがあり、筆者としても鼻血が出そうだし、心臓が持たなそうなのでそれはそれで助かっている(?)。鯛代くんと蛯原先輩の歩みはゆっくりだが、一歩一歩着実に近づいている……はず。あと、完全に当て馬だと思っていた、ハンサム君という漫研のコスプレ担当の彼の行方も気になるところだ。

  さて、海老で鯛を釣るということわざがあるが、はたして鯛(鯛代)は海老(蛯原)を釣ることができるのか?(『干物妹!うまるちゃん』を思い出す筆者)すれ違いもありつつ、モダモダした感じや、ギャグとピュアのバランスも絶妙で、ハピエン(ハッピーエンド)期待大の作品なので、BL初心者も読みやすいと思う。

  そして、本作は休みの前の日に読むことをおすすめする。翌日仕事に行きたくなくなるから、まじで。お姉さんとの約束だ。

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書誌情報
『鯛代くん、君ってやつは。』ビボピーコミックス1~3巻
作者:ヤマダ
出版社:リブレ

 

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