月刊オカモトショウ特別編 再認識した『ONE PIECE』の偉大さ「自分の“普通さ”を知っている尾田先生はスゴすぎる」

オカモトショウが語る『ONE PIECE』の偉大さ

※本稿は『ONE PIECE』のネタバレを含みます。

 ロックバンドOKAMOTO’Sのボーカル、そして、ソロアーティストとしても活躍するオカモトショウが、名作マンガや注目作品を月イチでご紹介する「月刊オカモトショウ」。今回は特別編として、「週刊少年ジャンプ」での連載が風雲急を告げている『ONE PIECE』を緊急でピックアップすることに。昨年、連載1000回を突破し、コミックスも100巻を超えた国民的ヒット作について、オカモトショウが独自の視点で解説します!

このタイミングでこんなストーリーになるなんて

――尾田栄一郎さんの『ONE PIECE』は言わずと知れた国民的ヒットマンガですが、ここにきてルフィたちの旅がクライマックスに向けて動き出し、再び大きな盛り上がりを見せています。

 とにかく展開がやばいんですよ。これから読む人たちのためにあまり詳しいことは説明しませんが、“ゴムゴムの実”の謎が明かされつつあり、同時にルフィ自身がどういう役割を背負った人なのかが判明しはじめて。「え、ここにきてそんな展開!?」ということがどんどん起きているんです。

――25年に及ぶ壮大なストーリーの回収がはじまった、と。

 まさに! 『ONE PIECE』が少年ジャンプで始まったのは1997年で、僕が7歳のとき。アニメも小学校のときから観てたし、自分たちの世代にとっては、人生とともにあるマンガなんです。描き続けられている神話じゃないけれど(笑)、どこかで「ずっと終わらないんじゃないか」みたいに思っていたところもあって。それがついに終盤に向かい始めたということで、それは盛り上がりますよ。だって、ここに来て「ルフィがルフィじゃなくなる」展開って、すごくないですか?

――ゴムゴムの実の「覚醒」で、人格すら変化していますね。

 そうそう。主人公なんだから、ずっとそのままのキャラクターでいくのが普通じゃないですか。これまで積み重ねきたものを全部覆すような展開は勇気が必要だし、怖さもあると思うんです。25年も連載を続けてきて、コミックスは100巻を越えて、このタイミングでこんなストーリーになるとは思ってなかったし、本当にビックリですよ。『美味しんぼ』でいうと、“実は山岡史郎が海原雄山の師匠だった!”と言われるくらいの衝撃でした。

――(笑)。それくらいあり得ないことが起きている、と。

 尾田先生にとっては本当に覚悟が必要な展開だと思いますね。それが読者にもきちんと届いていて、最近、「『ONE PIECE』って読んでます?」と言われることがけっこうあるんですよね。あまりに有名なマンガだから、これまではわざわざ話題に出すことも少なかったのですが、それくらい、みんな話したいんですよ(笑)。

――連載があまりにも面白いから、誰かに話したい(笑)。

 それでいて、物語としてしっかり整合性も取れているし、やっぱり“王者”はすごいなって。これは自分の勝手な解釈なんですけど、『ONE PIECE』は“ジャンプマンガ”というものを担っていると思うですよ。『NARUTO-ナルト-』や『BLEACH』が終わってしまって、みんなが知ってる王道のジャンプマンガは今や『ONE PIECE』だけだとも言えるし、それが今後どうなるかは、尾田先生の腕にかかかっていて。

――そうかもしれないですね。『ONE PIECE』の行く末を日本中のマンガファンが注視しているわけで……。

 そこにはいろんなレイヤーがあるんですけどね。ルフィを知らない人はほぼいないだろうけど、どれくらい知っているかは人によって違うので。……ルフィって、実はめちゃくちゃ自分勝手じゃないですか。わがままだし、誰の言うことも聞かないし、「俺について来い」というときも、相手の気持ちを無視しているので。ハードボイルドだったり、カリスマ的なカッコ良さで率いるわけでもないし、必ずしもチャーミングな魅力で人を惹きつけてるわけではなくて、「戦いてえから戦うぞ」とか、「あいつらが困ってんだからお前出て行け」とかみたいな(笑)。『ドラゴンボール』の悟空だって、もうちょっと周りに気を使ってますよ。

――確かに(笑)。

 行動だけ追っていくと、やっぱりルフィは困ったヤツなんだけど(笑)、マンガを読んでるとそういう印象はなくて、「気持ちいい人だな」と思っちゃう。それってすごいことでしょ? 日本人がいちばん好きなキャラクターは結局“のび太”じゃないかなと思ってるんだけど、ルフィみたいなハチャメチャなキャラクターが、それくらいのポジションになっているのはすごいなと。

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