「ゴムゴムの実」はなぜ重要なのか? ワンピース研究家が考察する、秘められた可能性
※本稿はネタバレを含みます。
『週刊少年ジャンプ』2021年30号(6月28日発売)に掲載された『ONE PIECE』の第1017話〝号令〟にて、元CP9のフーズ・フーが12年前に世界政府の船で「ゴムゴムの実」を護送中に奪われたと明かしたことから、読者の間で考察合戦が加速している。
「ゴムゴムの実」は、もともと赤髪のシャンクスらが「敵船から奪った」もので、主人公・ルフィが誤って口にした超人(パラミシア)系の悪魔の実だ。ユニークだが自然(ロギア)系や動物(ゾオン)系のそれに比べると決して強い能力とは言い難い。実際、作者の尾田栄一郎も、ルフィをゴム人間とした理由について、「ふざけたいから」(朝日小学生新聞/2012年11月13日発行号)と語っている。
しかし、フーズ・フーの発言によって、世界政府にとって「ゴムゴムの実」が極めて重要な悪魔の実だった可能性が示唆され、その能力にはまだ秘められた性質があるのではないかと、様々な憶測が飛び交っているのだ。ワンピース研究家として知られ、多数のメディアで活躍する神木健児氏に「ゴムゴムの実」の可能性を訊いた。
「悪魔の実の能力者は〝覚醒〟によってさらに能力が開花することが示されているため、ゴムゴムの実の能力にも次のステージがあるのではと考えられています。覚醒の可能性はいまだ未知数な部分が多いのですが、3つの可能性を以下にあげてみます。「強さ」ではなく、ワンピースの謎を解明する「ピース」になるため護送されるほどの実とされているのではないでしょうか。
1)周囲のゴム化:超人系の覚醒では、周囲に自分の能力の影響を与えると思われます。ルフィが身の回りのものをゴム化したところで、戦闘で劇的な強さを発揮するかはわかりませんが、例えば「何かを〝伸ばす〟」ことが覚醒によって可能になるのであれば、世界政府が東の海で700年前から作り続けている巨大な橋「テキーラウルフ」の完成に大きく寄与するなど、この世界にとって重要な鍵となる能力なのかもしれません。
2)消しゴム能力:消しゴムは小学生にもお馴染みの道具で、ゴムの性質として真っ先に挙げられそうなものですが、作中でルフィの能力が消しゴム的に活用される描写はありません。これは尾田先生がこれまであえて描かなかった能力で、たとえば「人々の記憶を消す」といったことができるようになるのかもしれません。そうなると、作中の大きな謎である〝空白の100年〟の理由も解明されそうです。
3)物質以外のものを伸縮させる:「オペオペの実」の最上の業に、人に永遠の命を与える「不老手術」がありますが、これに倣うと「ゴムゴムの実」でも寿命を伸ばすとか、あるいは時間そのものを伸縮させるといった応用ができるかもしれません。もしも時間を伸ばせるとなったら能力としてかなり強力ですし、やはり〝空白の100年〟の理由にもなりそうです」
覚醒してなんらかの能力が開花する可能性がある「ゴムゴムの実」だが、世界政府が求めたのには別の理由もあるかもしれないと、神木氏は続ける。