月刊オカモトショウ特別編 再認識した『ONE PIECE』の偉大さ「自分の“普通さ”を知っている尾田先生はスゴすぎる」

オカモトショウが語る『ONE PIECE』の偉大さ

「普通の人の気持ちがわかる」尾田栄一郎のすごさ

――漫画家としての尾田さんのすごさは、どんなところにあると思いますか?

 一人の作家を特集する『ジャンプ流!』というDVD付きのムックがあって、全巻揃えているんですけど、尾田先生のインタビューがすごく面白くて。「僕は世間で流行ったもの全部に流されるだけ流れてきた。今では普通の人の気持ちがよく分かるのが強みだと思っている」みたいなことを言っていて、めっちゃ感動したんです。それを貫けているからこそ、『ONE PIECE』みたいな作品を生み出せるし、描き続けられるんだなと。音楽もそうだと思いますが、モノを作る人間が“自分は普通だ”ということを受け入れるのって、すごく難しいんですよ。「一般の読者はこういうものが好きなんでしょ?」と、高をくくっている感覚が一切なくて、自分が普通であるということを自認した上で、面白い作品をつくるのは本当にスゴい。ある意味では、自分の「ダサさ」を隠さないことでもあるので。

――なるほど。自分を良く見せるのではなく、ダサさやカッコ悪さをさらけ出しながら作品をつくっているからこそ、多くの人の共感を集めるのかも。

 そうだと思うんです。ONE OK ROCKのTakaくんも「自分にはダサいところもあるけど、それもぜんぶ見せていきたい」みたいなことを言っていて、それがカッコいいと思ったし、僕にとっても大きなテーマですね。『ONE PIECE』にも嘘がなくて、尾田先生は漫画家というより、『ONE PIECE』を人生をかけた仕事にしてきた人だと思います。そのスタンスは、僕のなかではシーナ&ザ·ロケッツに近くて。シナロケがNO HAKATA, NO LIFE.にて、俺たちは進化を拒絶して生き延びた、と書いててそれもカッコいいなって。

――周囲からどう思われるか気にせず、自分たちが好きなことをやり通すということですよね。そのスタンスは確かに『ONE PIECE』にも通じているかもしれない。

 そうですよね。そして、日本一の少年マンガが、ここに来てこれだけ面白いというのは、マンガ業界全体にとっても素晴らしいことだと思います。王道が強くないと、カウンターも出てこない。ジャンプの場合、『ONE PIECE』がこれだけ強いからこそ、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』のような、ダークヒーローが活躍する作品が出てきたんじゃないかと思います。とにかく、『ONE PIECE』はいま読むべきマンガだと思います!

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