夏帆が写真集に詰め込んだ、20代最後の2年間 「自分自身も世の中も、目まぐるしく変化した濃密な時間でした」

夏帆が語る、20代最後の写真集


とりとめのない、けれど濃密な2年間

――2年間、どれくらいのペースで撮影を?

夏帆:結構まばらでしたね。定期的に会っていた時期もあれば、途中、コロナの影響で会えない時期も続きましたし。お互いの仕事の合間を縫って、撮れるときに撮ろうって感じでした。

――雪景色もあれば、夏らしい風景もあって。季節の流れを感じる写真集ですよね。

夏帆:夏の北海道に、冬の新潟に。いろんな時期に、いろんな場所で撮影しましたからね。

――行かれた旅先で、特に思い出深い場所はどこですか?

夏帆:全部楽しかったですよ。「どこが」とか「このときが」とかじゃなく、真澄ちゃんとあーだこーだ言いながら作品作りができた2年間が楽しかったんです。2年というと短く感じるかもしれませんが、自分自身も、世の中も、目まぐるしく変化した2年間でしたし、体感的にはとても濃密な時間でした。写真に写っていることも、写っていないことも、全てが思い出ですね。

――とりとめのない日々の全てが、かけがえのない思い出になったと。

夏帆:本作は、真澄ちゃんからの提案で、時系列に関係なく写真を並べているんです。というのも、人が何かを思い出すときって、数年前の出来事がポッと出てきては、数日前の出来事がポッと出てくることもあって、必ずしも時系列に沿っているわけじゃないですよね。この2年間を思い出すにしても、2年前のこと、数ヶ月前のこと、と断片的に浮かび上がってきますし。そういう記憶の在り方って、とても自然だと思うんです。

――淡々と流れる時間の何でもない瞬間が妙に記憶に残っている、なんてこともありますもんね。

夏帆:そうそう。真澄ちゃんも、常にカメラを持ち歩いては、気付いたら写真を撮っているような人で。一緒に歩いていて、隣にいないと思って振り返ったら、立ち止まって写真を撮っている、なんてこともよくありました。そうやってカメラを構えている真澄ちゃんの姿が、かわいくて大好きなんです。だからこそ本作に対しては、どこかが飛び抜けて良かった、みたいな感覚がないんだと思います。

――最終的に撮りためた写真の枚数もかなり多そうですね。

夏帆:泣く泣く使わなかったカットもたくさんあります。また違った形で、みなさんにお見せできる日が来ると良いのですが……。

――未収録のカットにもいい写真がたくさんありそうですね。ぜひ見てみたいです。では最後に、20代最後の2年間を写した本作は、夏帆さんにとってどんな一冊になりましたか?

夏帆:数年後に見返したとき、この本を残すことが出来て良かったと思えるような写真集になったと思います。私のプライベートの姿がすべて写っているかというと決してそうではなくて。これは、あくまでも真澄ちゃんと二人で作り上げた世界観なんです。それでも、あのときの等身大の私が切り取られていて、自分でもハッとする写真がたくさんあります。この先、好きなものが変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。それは分からないですけど、間違いなく本作は、この2年間でしか撮れなかった写真ばかりですし、それを形にして残すことが出来て本当によかったです。

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