「ルパン三世」一家が異世界で大活躍中 今後期待したい有名キャラの転生は?

 ルパン三世といえば、最高の知性を持ち最強の仲間たちと共に世界を席巻し続ける大泥棒。活躍の範囲はヨーロッパの公国から閉ざされた共和国から失われた旧文明まで広く及んでいる。時にはタイムマシンで過去にまで遡って大暴れすることも。そんなルパン一家がもしも異世界へと放り込まれたら? 「週刊少年チャンピオン」で連載されている『ルパン三世 異世界の姫君(ネイバーワールドプリンセス)』が、異世界転移・転生ものが大流行している今だからこそ浮かぶ興味を満たしてくれる。

 ルパン三世に次元大介に石川五右衛門に峰不二子。モンキー・パンチの原作やアニメシリーズを見ている人にはおなじみの“ルパン一家”と、仇敵の銭形警部が追いつ追われしていた時に異世界に召喚された。それもバラバラにされて。モンキー・パンチ、エム・ピー・ワークス原作による内々けやきの漫画『ルパン三世 異世界の姫君(脚本・佐伯庸介、オリジナルキャラクターデザイン・白狼、秋田書店)の導入部だ。

 ルパンが放り込まれたのはドラゴンが飛び回っている世界で、そこでアイシュという名の姫と知り合い、魔女によって支配されかかっている国を救いたいという彼女の願いをかなえようとする。さっそく役立ったのが、泥棒として鍛え上げてきた変装の能力であり、愛銃ワルサーP38の威力。トラクターに轢かれそうになった引きこもりのニートが、高い幸運のステータスを与えられたような転移・転生に伴う“チート”は持たずに異世界へと放り出されたルパンだったが、そこは希代の大泥棒だけあってしっかりと活躍してのける。

 前世の知識や能力が、転移・転生した先に引き継がれるパターンは、アニメ化もされた月夜涙によるライトノベル『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』(スニーカー文庫)と同様だ。セクキャバの客引きとして培った類い希なるコミュニケーション能力が、異世界で大成功をもたらす羊山十一郎『PUFF パイは異世界を救う』(星海社FICTIONS)のような例もある。能力に長けたルパン三世やその仲間たちなら、どこでだって大活躍できるだろうと思ったら意外なところに穴があった。

 早撃ち0.3秒の銃の腕前で、ルパンの危機をたびたび救ってきた相棒の次元大介は、357マグナムを手にしているから世界一のガンマンでいられる。放り込まれた異世界でも同様で、転移した先に現れた巨大な化物相手に弾丸を放ち、口中に放り込まれた何本もの爆弾の導火線に火を付けて吹き飛ばす。さすがは次元といったところだが、弾丸を発射できなければ357マグナムもただの鉄塊。話術と詐術で生き抜けるルパンのようにはいかないのではと思わせる。

 『ルパン三世 異世界の姫君』が巧いのは、そんな次元にとって最善な種族と巡り合わせたこと。詳しくは書かないが、伏瀬『転生したらスライムだった件』(GCノベルズ)で転生したリムルが、カイジンという男の力によって、日本のサラリーマンだった前世で享受していた文明を再現できたのと似ていると言っておこう。やがて次元は、弓矢の扱いに長けたエルフたちの中に転移して、誰にも負けない剣術の腕前を見せて信頼を勝ち取った石川五ェ門と再会して、ルパンとの合流を目指す。

 漫画に登場するオリジナルのキャラクターは、ルパンが助けたアイシュ姫は愛らしくアイシュ側付きの女性騎士シウーリは猛々しくてそれぞれに魅力的。次元と行動を共にするスムンナは小柄ながらも手にした斧を振り回し、五ェ門といっしょのキシャラもスラリとした肢体で弓を構えて矢を放ってゴブリンの集団を蹴散らしてみせる。

 そんな高ポイントの美少女キャラたちに少しだけ目移りはしても、次元が357マグナムをぶっ放し五ェ門が斬鉄剣を振り回し始めると、強さやカッコ良さに目を引きつけられる。『ルパン三世』シリーズならではの特徴が、しっかりと出たストーリーだと言える。だったら絶対に欠かせないのが、“謎の女”峰不二子の暗躍であり銭形警部の奮闘で、2人とも3月15日に発売された第2巻から登場して、本格的にストーリーに絡んでくる。

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