【今月の一冊】映画紹介からYouTubeチャンネルのノウハウまで おすすめエッセイ&ノンフィクション作品を紹介

おすすめエッセイ&ノンフィクション作品を紹介

『エガちゃんねる革命』藤野義明


 2020年2月1日、YouTubeデビューを飾った芸人・江頭2:50。万人に受け入れられる「好感度」がタレントを起用する際の重要な指標になるテレビというメディアにおいて、特に『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)が終了して以降、プライムタイムの番組で江頭を見かける機会は限定的だった。しかし、初めから演者や内容を承知の上で、視聴者が主体的に動画を選ぶことが多いYouTubeにおいては、その尖ったイメージがそのまま武器になり、瞬く間に人気を獲得。もともとのネット人気の高さも追い風に、「エガちゃんねる」のチャンネル登録者数はすでに280万人を超え、コロナ禍により多くの人気芸能人がYouTubeに参戦したなかでも、最高レベルの成功例となっている。

 そんな「エガちゃんねる」の仕掛け人である、総合演出・ディレクター、プロデューサーの藤野義明氏が、その裏側を語り尽くした一冊が『エガちゃんねる革命』(宝島社)だ。

 準レギュラーとして活躍していた人気番組が立て続けに終了し、離れていく仲間やスタッフも少なくなかったなかで、江頭が持つ「時代も国境も超越できる普遍的なお笑いとしての強さ」を確信していたという藤野氏。本人との会議(飲み会)を続け、新たな活躍の場としてYouTubeというプラットフォームに行き着き、芸能人のチャンネル開設ラッシュ以前から、研究と準備を重ねてきた経緯が明かされる。

 惚れ込んだ一人の芸人への「情」と、テレビ/YouTubeを軸としたエンターテインメント業界に対する鋭い「分析」。その両面が赤裸々に語られた本書は、「エガちゃんねる」ファンも、動画制作・マーケティングに興味のある読者も、ともに膝を打つ内容になっていると言えるだろう。(橋川良寛)

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