片寄涼太が語る、文章を書いて気づいた“大切にしたい自分” 「感覚の部分を書いて残すことができた」

片寄涼太が語る、言葉の表現

 2021年10月29日、GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカリスト・片寄涼太による初の著書『ラウンドトリップ 往復書簡』が新潮社から発売された。

 「僕自身も『知らない自分』に出会うことができた」と語るなど「素の片寄涼太」が綴られた本書は、片寄が全幅の信頼を寄せる、彼をデビュー前から知る作詞家・小竹正人と交わした合計40篇の書簡(手紙)をまとめたものである。第1部を書簡、第2部を対談で構成。また巻頭には16ページの撮り下ろしグラビアが収録されており、ファンには嬉しい内容だ。

 40通に上る書簡は、2人の出会い、デビューからこれまでのこと、自身の性格のこと、日常の気づき、読書の大切さ、音楽以外の活動、これからのこと、そして恋愛観など、さまざまな事柄について片寄が報告や相談や質問をして、それに小竹が答えながら独自の見解や日々の出来事などをしたためて返すカタチで進み、積み重なっていった。

 発売日に都内で行われた記者会見で片寄は、「いまの時代でしか綴れない言葉や、いまの時代だからこそ感じていることが詰まった作品になりましたので、幅広い世代の方に共感していただけるんじゃないかと思っています。本に馴染みのない方にも、普段から読まれる方にもぜひ目を通していただければ」とアピール。

 そんな、新型コロナ禍という特殊な環境だからこそ、より深いものになった本書について、片寄に個別インタビュー。初の著書の感想や本書についてのエピソード、今後の展開などについて訊いた。

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「読み返したくなる本」が出来上がったという実感

ーー初めての著書が発売になって、また発売前に重版が決まったということで、あらためて感想をお聞かせください。

片寄:連載を始めたころは、これが最終的に本になったらいいなとは思っていましたが、実際カタチになったものを見たら嬉しさも実感しますし、感動しました。重版というのも、すごく有り難いと思っていますし、小竹さんが半分冗談で「一番好きな言葉は重版」と仰ってましたから(笑)、そのことをお聞かせすることができたことも良かったです。

ーーコロナ禍という特殊な状況で企画がスタートしましたが、どのような気持で取り組もうとお考えでしたか?

片寄:最初にお話をいただいたのは、コロナ禍になる前に小竹さんと食事をしていたときでした。これまで文章を書くのはブログくらいでしたが、手紙をやりとりするような企画は、昔のアイドルさんとかもやっていらっしゃったと聞いて興味を感じましたし、小竹さんからのお話でしたので、お引き受けさせていただくことにしました。 

 企画を受けると決めたときにパッと考えついたのは、「最初の手紙は僕からの方がいいだろうな」ということでした。小竹さんも最初に何を書こうかと気にされていたようなので、打ち合わせの際に僕から申し上げました。

 そんな折りにコロナ禍になり世界が足止めを食らって、もちろん僕も立ち止まらざるを得ない状況でした。気軽に人に会うことが難しい中で自分でも悶々と考えることがあり、この企画は成るべくして巡り合わせたものなのだと、受け入れ方も変わりました。実際、凄かったですね。車がほとんど通ってない街なんて、異常な光景だったなと。

ーー連載前と終了後で、意識の違いや気づきなどはありましたか?

片寄:お話をいただいたときは、やってみないとどうなるか分からいところもありましたし、不安とワクワクが同居していましたね。締切もありますし、途中で飽きてしまわないだろうか、とか。でも最後は「思い出を残すことができたな」という気持でいっぱいでした。

 出来事は覚えてるけど、その中身までは細かく覚えていないようなことって、よくあるじゃないですか? たとえば、恋人とデートしたことは覚えてるけど、手をつないだあの温もりが思い出せないみたいな。そんな感覚の部分を書いて残すことができたことが、自分にとっていとおしい時間だったと思っています。そこには「知らない自分」がいましたし、「大切にしたい自分」に気づけたというか、出会えたように思います。またそれを小竹さんをはじめ、読者の皆さんに届けられたので、すごく嬉しいです。

 10年後にこの本を読むと、また違う感覚で読めそうですね。この本を書いた自分を生意気に感じちゃうかも知れませんし、実際書き始めたのはたった1年前なのに、今読み返すと、ちょっと擦れてるようにも感じちゃうんですよね(笑)。でもそれを小竹さんが受け入れてくれて、また小竹さんの言葉で返してくれて、そのリアルがドキュメンタリーのようでもあり……。ですので10年後とかに読んだら、小竹さんの言葉もまた違った響き方をするんだろうなと思います。そういう意味でも、定期的に読み返したくなる作品になっているんじゃないかなと。

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