片寄涼太が語る、文章を書いて気づいた“大切にしたい自分” 「感覚の部分を書いて残すことができた」
片寄にとっての言葉とは?
もともと読書が好きだという片寄は、大切な一冊として『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎/古賀史健著)を挙げ、その中の一節を紹介して「前向きに一歩踏み出す勇気をもらっています」と本書で語っている。
そして連載を終えた片寄が小竹との対談では「言葉はやっぱり大事だなと感じました」と振り返り、読書の大切さや、何かを表現するときの言葉選びの大切さについても言及しており、たいへん興味深い。
また言葉やコミュニケーションについては、タクシー運転手とのエピソードを紹介した面白いくだりがある。ある日、片寄がタクシーで渋谷のNHK放送センターへ向かっていた際、運転手からNHKの近くにある渋谷区役所へ行くのかと尋ねられた。そのとき片寄は「空気を読んで」話を合わせ続けたという。結果的に区役所の近くで降車して区役所側へ向かうフリまでしつつ、遠回りの末にNHKに着いたのだそうだ。片寄は読者に「こういう感情を経験した方はいませんか? この現象、感情に名前をつけてほしいくらい」と投げかけていた。
そしてインタビュー時、筆者は上記のエピソードについて何かいい名前はついたのか質問をしたところ、答えは「まだ」だった。片寄は、もどかしさを感じつつも楽しげに「この感情って言葉で表現できなくないですか? 何かことわざとか、新語で作りたいですよね(笑)」と笑顔で話す。
引き続き「答えを募集中」とのことだ。
文化の架け橋になりたい
ーー本文中、同時期に3人から同じことについてアドバイスされ、「導かれている」ような感じを覚えたとありますが、具体的に何についてのアドバイスだったのですか?片寄:「本物になりなさい」といったようなことを言われました。有り難いことに、この本の執筆を含めて、アーティスト、俳優、またファッションのお仕事など、さまざまな経験やチャレンジさせていただいています。
そうした中で、僕自身「どのお仕事もそれなりにはできるけど、それをどのように選びピックアップして自分の武器として磨き上げていくのか」といったことを考える時期だったんです。そういう岐路に立つことって、僕と同世代の人は多くが感じ、体験してると思うんですよ。20代後半くらいの男の人って、ちょっと悩んだりするじゃないですか。そういう時期だったんですよね。
そんなときに、信頼する方や年上の方たちから、ほぼ同時期に、表現は違うんですけど「何かを極めなさい」、「君が本当にやりたいことって何なの?」といった感じで、同じアドバイスをいただいたことがあったんです。「いや、分からないから、いろいろなことにチャレンジしてるんじゃん」と思ったりもしつつ……。それでも同時期に3人の方から言っていただけたことで降参したような、何かしら一つの答えに導かれているんだなと感じました。
ーー今後の新たな挑戦の可能性として、「往復書簡」ならぬ「往復小説」を書けたら楽しいだろうと仰ってましたが、いつくらいに書けそうですか?
片寄:「往復小説」の企画が実現したならば、どなたかと一緒に、お互いにオチを決めずに小説を作っていくことになりますよね。自分のシナリオ通りに行かない物語を、最終的にどうまとめていくのか、ドキュメンタリーチックだしドラマチックだし、これが実現したら面白いんじゃないかと思っています。他にも、自分の過去を作品にするのも面白そうですね。実際の経験とフィクションを混ぜ込んで小説にできたら楽しいと思います。
でも、締切にまた追われるのは嫌だなぁと。まだアレルギー反応がちょっと出てますね(笑)。それでも、今回の本の発売前から読んでくださった方に「また何か書いてください」と言っていただけるのは、すごく有り難いことですし、励みになります。
半年くらい休みをいただけたら、南の島でのんびり書きたいですね(笑)。でもそうなったら3カ月くらい何もしないで遊んでるかも。僕は焦ってやっと手を着けるタイプなんですよね。むしろそれが人間らしさですかね(笑)。
ーー最後に、片寄さんの「夢」についてお聞かせください。片寄:日本の文化や芸術、若いエネルギーなどを自分や自分の身の回りのものを通じて世界に発信することも、その一つです。
僕自身、これからチャレンジしたいことや好きなことはたくさんありますし、若い子たちにも好きなことがたくさんあるでしょう。そうした若い人たちが考えている様々なこと自体が文化だと思っています。もちろん世界で活躍している人々の影響を受けることもあるでしょう。そうした文化の中で、アートでも音楽でも、まだメジャーになれていない若い才能はたくさんあると思うんですよ。そういう人たちが表舞台に出られるような、そんな架け橋になれたら楽しいとだろうなと。そういう意味で、若い人たちが才能を発表できるような場所がもっと増えたらいいなと感じています。
またこの本を通じても、伝えられたらいいですね。本って、誰かの考え方を変えられるかもしれないツールの1つだと思いますし、あらためて読み返すと僕が込めたメッセージがたくさん詰まっています。この本を手にとってくださる若い人を含めた多くの方々に、何か感じてもらえるものがあるといいなと思っています。
■書籍情報『ラウンドトリップ 往復書簡』
著者:片寄涼太、小竹正人
判型:四六変小240ページ(オールカラー16ページ含む)
定価:1,650円(税込)
発売日:2021年10月29日(金)
ISBN:978-4-10-354271-1
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