科学は誰にでも扱える 『Dr.STONE』が伝え続けるメッセージ
稲垣理一郎(原作)とBoichi(作画)が手掛ける科学漫画『Dr.STONE』の第22巻が発売された。「週刊少年ジャンプ」で連載されている本作は、世界中に降り注いだ謎の石化光線によって全人類が石化して数千年後の世界が舞台の物語。
石化から目覚めた少年科学者・石神千空は科学の知識で石化除去液を作り出し、仲間たちを復活させ、やがて科学王国を築き上げる。そして、人類が石化した原因を探求するため、科学船ペルセウスで大海原へと旅立つ。
作品の魅力は、鉱物や植物といった自然物を材料にゼロから様々な文明の利器を作り上げていく発明モノとしての面白さと、科学的思考をベースにした戦略バトル。Boichiの作画はメカや自然物の描写が精密でリアルだが、千空を筆頭とするキャラクターの描写はケレン味たっぷりに描かれ、少年漫画らしさでみなぎっている。
稲垣理一郎のストーリー展開もそれは同様で、発明に至るフローチャートや思考の流れこそ明晰でリアルだが、理詰めで積み上げてきた果てに出てくる物語の見せ方は毎回大胆で、チェスや将棋の駒を動かすように一手一手慎重に進めたかと思うと、あっと驚くような大胆な超展開に向かい、読者を翻弄する。
得に22巻では2人の作画とストーリーテリングの巧みさが冴え渡っており、本誌連載で読んでいるときは、こんな展開ありなのか? とひたすら圧倒された。
以下、ネタバレあり。