『作りたい女と食べたい女』ごはんで通じ合う“百合マンガ”は堅苦しい覚悟を柔らかくほぐしてくれる

『作りたい女と食べたい女』

 たまに無茶してヘコんでしまうときもあるけれど、基本はひとりで生活している。仕事も食事も、なんとかなっている。そんな女性たちは日々の生活を「なんとかしている」のであって、その努力は社会人として当たり前と言われてしまえばそれまでなのかもしれない。

 しかしぴったり「ひとりぶんだけの自炊」をしなくてもいい。好きなひとと好きなだけ好きなものを食べる!という幸せを『作りたい女と食べたい女』はマンガという気楽なかたちで伝えてくれている。それは「女性がひとりで生きていくこと」への堅苦しい覚悟を、柔らかくほぐしてくれているのではないだろうか。

 『作りたい女と食べたい女』は2021年6月15日に発売され、早速22日に重版がかかり、「次にくるマンガ大賞2021」にノミネートされている。

 謎多き「食べたい女」である春日さんがどのような背景を持ったキャラクターなのか、二人が“食”という接点からどんな関係性を築き上げていくのか、まだわからない。続刊を心待ちにしている読者は筆者だけではないだろう。

■柳ヶ瀬舞
フリーライター。ユリイカやWebマガジンで、サブカルチャーや文芸作品についてのコラムを執筆。趣味で小説を書いている。Twitter:@yanagase_mai

■書籍情報
『作りたい女と食べたい女(1)』
ゆざきさかおみ 著
定価:770円(税込)
出版社:KADOKAWA

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