漫画「映画大好きポンポさん」シリーズが訴える、映画への畏怖と創作の喜び

「ポンポさん」シリーズが訴える、映画への畏怖と創作の喜び

 6月4日に公開され、ジーン・フィニという男の映画に対する凄まじいまでの執念を90分の中に見せてくれた、平尾隆之監督による劇場アニメ『映画大好きポンポさん』。ならば、原作となった杉谷庄吾【人間プラモ】による漫画「映画大好きポンポさん」シリーズも同じかというと、こちらはもっと多く、そして広い範囲の映画に関わる人たち、映画に心を惹かれた人たちの思いを、滝のように浴びせてくる作品になっている。

 映画のことしか関心がないジーン・フィニという男が、学校を出て入った映画スタジオで、少女ながらも敏腕プロデューサーとして鳴らすポンポさんのアシスタントとなって1年。撮影現場では熱心にメモを取り、時間ができれば試写室で映画を観ながらやっぱり細かいメモを取るジーンを見て、ポンポさんは新作映画の監督に抜擢する。

 せっかく撮影した感動のシーンでも、1本の映画にまとめる上で不要ならバッサリと切るドライさ、過労で倒れて入院した病院を抜け出し、編集室にこもるジーンの不屈さに、そこまでするのかと驚いた人も多かっただろう。

 だったらどうして、『映画大好きジーンくん』ではないのか。原作漫画でも、スピンオフとして女優を目指す2人を主役に据えた『映画大好きフランちゃん』『映画大好きカーナちゃん』が刊行されながら、ジーンの名を冠した巻は出なかった。それでいて、ほとんどのシリーズで、ジーンは映画作りの現場で監督として差配を振るい、「ここまでしなければ良い映画にはならないのだ」という執念を、身をもって示して周りを引っ張る。

 映画というものに、極限までのめり込んだ人間の代表としてジーンが存在することで、ポンポさんに抜擢された新人女優のナタリーも、スピンオフに描かれるフランやカーナも、そしてポンポさんや彼女の知人や同級生たちも、自分の映画というものに対する姿勢を確認しては、改めて映画作りにのめり込んでいく。それが「NYALLYWOOD STUDIO SERIES」と銘打たれた「映画大好きポンポさん」シリーズなのだ。

 『映画大好きポンポさん2』で、ジーンはクリエイターとしての情熱に従って、監督を依頼された映画を好き勝手に編集して放り出し、ポンポさんに大迷惑をかける。その後、ジーンは自分で納得のいく脚本を書き、ポンポさんプロデュースの映画に良く出ている女優のミスティアを主役に撮りあげるが、そこにポンポさんが脚本を書き、仲の良いコルベット監督とともに仕立て上げた映画で勝負を仕掛けてくる。

 “ニャカデミー賞”監督で重度のシネフィルでもあるジーンが見ても、納得の脚本と映画を作り上げるポンポさんの才能は凄まじいが、そんな場へと引っ張り出したのはジーンの振り切れた映画への思いだ。

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