小川紗良が語る、小説『海辺の金魚』で描きたかったもの 「クローズアップされない所に関心がある」

小川紗良『海辺の金魚』インタビュー


――ひとつ気になったのが、本作で描かれている「かき氷事件」ですが、日本で実際に起きた事件を参考にしているところもあると思うのですが、なぜそのような事件を取り入れたのですか?

小川:世間を賑わせた事件も、その表面的な部分については何度も報道されますが、取り残された子どもたちの存在についてはあまりクローズアップされません。

 先ほど様々な状況に置かれた子どもたちに関心があったとお話ししましたが、犯罪者の子どもやカルト宗教2世などについても同じくで、そこにいた子どもたちは今日までどのようにして生きてきたのか、親に対する思いはどうなのか……というところに、やはり関心があったんです。

 なので今回の映画や小説を作る際に、様々な過去の事件や社会現象を漁りながら、特にその渦中にいた子どもたちの視点に立ったものを掘り下げていきました。

――本作は、複雑な環境下にいる子どもたちに対する小川さんの思い入れから出来上がった物語だと思います。それを踏まえた上でお聞きしたいのですが、『海辺の金魚』というタイトルは、どのようにしてつけたんでしょうか。

小川:金魚は観賞魚として退化したために、自然のなかでは生きていけない魚です。子どもたちもまた、社会のなかでは小さく弱い存在で、誰かに守られなければ生きてはいけない存在だと思います。この二つの姿を重ね描きながら、もっと広い海へと連れ出したい、広い世界へ泳ぎ出ていってほしいという祈りを込めて、このタイトルをつけました。

――最後に、本作を読んでいただく方に注目してほしいポイントはありますか?

小川:本作は4つの短編集として構成されていて、それぞれに童話作家・アンデルセンの童話からインスピレーションを受けた部分があります。例えば、映画『海辺の金魚』のなかでは童話「人魚姫」の話が出てくるのですが、小説版ではさらにいろんな童話が出てきます。ぜひ幼い頃に読んだ童話を思い出しながら、読んでいただけると嬉しいです。また本作は、映画とはかなり話を変えた部分もあります。お好きな方から見ていただき、映像と活字の表現の違いも楽しんでいただきたいです。

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■書籍情報
『海辺の金魚』
小川紗良 著
定価:本体1,500円+税
出版社:ポプラ社

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