『家庭教師ヒットマンREBORN!』なぜ女性人気が高い? 主人公・ツナの“ヒーロー”らしからぬ魅力
『呪術廻戦』や『テニスの王子様』など、「週刊少年ジャンプ」の連載作品には男性だけでなく女性からも支持される漫画が多い。『家庭教師ヒットマンREBORN!』もまたそんな作品のひとつである。2018年には初の舞台化。原作へのリスペクトを感じさせる演出と、舞台ならではの手法で『REBORN!』の世界観を表現し原作ファンの支持を獲得。その後も2回舞台化され、今年21年の夏には4作目の公開が予定されている。メディアミックスを成功させ、読者から長きにわたり愛され続けている『家庭教師ヒットマンREBORN!』。本稿ではその魅力、特に女性人気の理由について考えてみたい。
主人公は勉強も運動も苦手な中学生「沢田綱吉(通称ツナ)」。ツナの前に現れたのは、彼をイタリアンマフィア「ボンゴレファミリー」の10代目ボスとして教育するため来日した赤ん坊姿の家庭教師「リボーン」であった。リボーンと共にツナの日常が描かれる学園コメディとして連載を開始したが、単行本8巻「標的62 襲撃」以降はバトル漫画寄りのストーリーが展開される。
本作を語るうえで作画のうまさは欠かすことができない。繊細でありながら勢いを感じる戦闘シーンの美しさは、多くの読者を虜にした理由のひとつであろう。特にバトル漫画寄りのストーリーとなってからは、話数を重ねるごとに描線の美しさは研ぎ澄まされていく。『マンガ脳の鍛えかた』(集英社)の中で、原作者である天野明は迫力ある絵を描くための工夫を次のように答えている。
「線の数を増やして、密度を上げるようにしました。それと、抑揚をつけるために、筆で線を補強しています。髪の毛やアゴの下なんかのちょっと太くて、影のようになっている部分は、ペンを入れた後、筆で補強したところです。」
本作が連載していた当時、多くの漫画家はペン先にインクをつけて描く「つけペン」を用いていた。天野はつけペンに加え、筆などの画材も使用することにより、繊細かつ迫力ある作画を可能としていたのだ。
また天野はアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のキャラクター原案の提供も行っている。この作品も舞台化されており、女性の人気を獲得している作品である。少年漫画らしい迫力ある描写に加え、少女漫画チックに繊細に描かれるキャラクターの存在が、男女問わず多くのファンを獲得した要因なのだろう。