中国SF文学『三体II』はなぜブームとなったのか 文芸書週間ランキング

中国SF文学『三体』ブーム、なぜ?

 5位の『心霊探偵八雲(12) 魂の深淵』 は、累計700万部突破したシリーズの完結編。主人公は赤い左眼で死者の魂を見ることのできる大学生・斉藤八雲。同じ大学に通う同級生・小沢晴香にある事件をもちこまれたのをきっかけに、助手となった彼女とともにさまざまな謎を解決していくミステリーなのだが、論理的な推理と理屈ではわりきれない心霊現象が両立しているところが本作の読みどころだ。そして事件の影に見え隠れする「赤の両瞳をもつ男」と八雲の因縁や、秘められた八雲の過去。16年かけて描かれてきたすべてに決着がつく最終巻、待ち望んでいたファンの多さを証明するように堂々のランクインとなった。

 新型コロナウイルスにくわえ、続く低気圧と雨模様になんだか鬱々としていて、「重たいものを読む気力がない」という人も多いだろう。その世相を反映してか、エッセイが2冊ランクイン。96歳を迎えた佐藤愛子の、半世紀に及ぶ『婦人公論』連載のなかから特に読み応えのあるものを収録した『気がつけば、終着駅』が話題作をおさえて1位に。7位『美女ステイホーム』は、林真理子による雑誌『anan』の連載「美女入門」シリーズ第18弾。ひとりの時間が増えた今、静かに自分の来し方をふりかえり、心の内側を覗いてみるのもいいかもしれない。

■立花もも
1984年、愛知県生まれ。ライター。ダ・ヴィンチ編集部勤務を経て、フリーランスに。文芸・エンタメを中心に執筆。橘もも名義で小説執筆も行い、現在「リアルサウンドブック」にて『婚活迷子、お助けします。』連載中。

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