東村アキコが語る、WEBTOONで表現する“30代の恋” 新連載『私のことを憶えていますか』インタビュー

東村アキコが語る、30代の恋愛

私のマンガを読んだ女の子には、強く明るくなって欲しい!

著者の仕事場にて

――これまで多くの作品でアラサー女子の恋愛を、現実的な描写と夢のあるストーリーで描かれていますが、東村さんが“30代の恋愛“について感じていることを教えてください。

東村:まず思うのは、ネットのせいでみんな情報過多! 自己評価低すぎ! 怯えすぎ! 恥ずかしがりすぎ! 空気読みすぎ!! 人生1回なので、もっと図々しく生きるべきですよ。30代って、私からみるとすごく若いんだけど当事者は20代からものすごーく歳をとってしまったような気分になりますよね。私もそうでした。30歳の誕生日に、「ああ私もう若い女の子じゃないんだ」と絶望感に襲われる気持ち、よく憶えています。が! 今の時代は30代の女性がガンガン好きなことできる時代だし、恋愛もいっくらでもできるし、いや逆に30代の今やらなきゃいつやるの!? っていうか、まあとにかく、若いときと違って開き直って欲しいな、と。なんのアドバイスにもなりませんが、そういう気持ちでマンガを描いてます。あとは、脅しにならないように気をつけていますね(笑)。

――脅し(笑)。たしかに「結婚=幸せ」の時代ではなくなったものの、作中にも「いき遅れ」「余った者同士くっつけば」という声も聞こえてきますね。これからの時代の「結婚」「恋愛」についてはどうお考えですか?

東村:結婚は、私も2回失敗してますから、偉そうなこと言えないんですが、やはりしてみるのとみないのとでは、人間としての成長? というか場数みたいなものが全く違ってくるなとは思います。結婚して初めて、自分が求めていたことがわかるというか……。「私はオシャレなレストランでプロポーズなんて興味ないわ」と言ってた女友だちが、「彼氏が家で雑なプロポーズをしてきた」と泣きながら私に電話を掛けてきたり、「婚約指輪なんて別にいらない」と言っていた女の子が「彼の買った指輪が安くてショック」と嘆いたり……。要するに、“自分はお姫様気質の女の子じゃない“と思ってたのに、結婚にまつわる事象だと、女はやっぱりお姫様の遺伝子が爆発するんです。そんな自分で気がついてまたショックを受ける。なんの話かよくわからんかもしれませんが、とにかく結婚ってのは、本当の自分に強制的に向き合わされる稀有な機会なんですよね。本当に自分が求めてるもの、理想の生活、人生の夢。それは1人ではなかなか気がつかない。相手がいないと見つけられない。結婚が幸せ、ということではなく、人生のひとつの試練として1回やってみてもいいのかな、と思います。

――なるほど。先ほど「怯えすぎ」「恥ずかしがりすぎ」とありますが、恋愛や結婚に限らず、様々なことに臆病になっているかもしれません。東村さんの作品を読むと、まずは行動してみようという勇気を貰えるのは、そういう気持ちが込められているからなんですね。

東村:私は、マンガで世界中の女の子を応援したいです。私のマンガの読者は、みんなほんとに可愛くて優しくていい子たちばっかりだよ、と思って描いてます。私のマンガを読んだ女の子には、強くなって欲しい。明るくなって欲しい、そう思っています。

■東村アキコ(ひがしむら あきこ)
漫画家。2019年『偽装不倫』で韓国のウェブ漫画市場に進出した初の日本漫画家となった。今年<2020ブルガリ・アウロラ・アワード(BVLGARI AVRORA AWARDS)>、<第14回アングレーム国際漫画フェスティバル>ヤングアダルト賞をはじめ、漫画業界のアカデミー賞とも呼ばれる<2019アイスナー・アワード>の最優秀アジア作品賞に至るまで、多数の漫画祭で受賞。代表作として『海月姫』、『東京タラレバ娘』、『主に泣いています』、『偽装不倫』などがあり、このほとんどの作品がドラマ化・映画化されている。現在、『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)が4月12日から放送中。

■関連情報
東村アキコ『私のことを憶えていますか』
「ピッコマ」にて好評連載中。

「ピッコマ」は、話題の人気マンガやノベル、オリジナル作品マンガを、毎日待つだけで1作品につき1話を無料で読むことができる電子マンガ・ノベルサービス。アプリ版「ピッコマ」は 2016年4月20日のサービスリリース以来、累計1,900万ダウンロードを突破。※累計ダウンロード数は2020年4月時点のiOS/Androidの合算。

アプリダウンロード:http://piccoma.com/web/redir/853
公式サイト:https://piccoma.com/web
公式 Twitter:https://twitter.com/piccoma_jp
運営:株式会社カカオジャパン

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