葛西純が明かす、結婚秘話と大日本プロレスとのすれ違い 葛西純自伝『狂猿』第8回

葛西純が明かす、結婚秘話と大日本プロレスとのすれ違い 葛西純自伝『狂猿』第8回

デスマッチファイター葛西純自伝『狂猿』

 葛西純は、プロレスラーのなかでも、ごく一部の選手しか足を踏み入れないデスマッチの世界で「カリスマ」と呼ばれている選手だ。20年以上のキャリアのなかで、さまざまな形式のデスマッチを行い、数々の伝説を打ち立ててきた。その激闘の歴史は、観客の脳裏と「マット界で最も傷だらけ」といわれる背中に刻まれている。クレイジーモンキー【狂猿】の異名を持つ男はなぜ、自らの体に傷を刻み込みながら、闘い続けるのか。そのすべてが葛西純本人の口から語られる、衝撃的自伝ストーリー。

第1回:デスマッチファイター葛西純が明かす、少年時代に見たプロレスの衝撃
第2回:勉強も運動もできない、不良でさえもなかった”その他大勢”の少年時代
第3回:格闘家を目指して上京、ガードマンとして働き始めるが……
第4回:大日本プロレス入団、母と交わした「5年」の約束
第5回:九死に一生を得た交通事故、プロレス界の歴史は変わっていた
第6回:ボコボコにされて嬉し涙を流したデスマッチデビュー
第7回:「クレイジーモンキー」の誕生と母の涙


 新人時代は、当然のように大日本プロレスの道場の2階にある寮に住んでたんだけど、実は俺っちは割と早い段階でその寮を出ている。そのキッカケは、いまのカミさんとの出会いだった。デビューして1年半くらい経ったころだったかな。当時『格闘探偵団バトラーツ』という団体に、アーバン・ケンっていう新人がいたんだけど、彼がケガをして出れなくなったから、大日本プロレスに「誰か若手の選手を派遣してくれ」っていうオファーがきた。

 バトラーツはバチバチスタイルだから、ボクシングをやってた伊東が合ってるんじゃないかって話だったんだけど、途中から葛西が行った方が面白いんじゃないかってことになって、俺っちがバトラーツの長野大会に出ることになった。バトラーツは好きだったし、入団しようと思って履歴書も送ったことある団体だったから、こういう形で参戦するとは思わなかったね。

バトラーツの打ち上げで運命の出会い

 試合は臼田勝美さんとのシングルだったんだけど、その頃の俺っちは蹴りや関節とかは全然できなかったから、普段通りの純プロレスで、ミサイルキックやジャーマン、ダイビングヘッドバットで挑んだ。試合が終わって、バトラーツの人が「打ち上げがあるから、葛西くんも来なよ」って誘ってくれて、そこに行って出会ったのが今のカミさんだった。彼女は、お姉さんとふたりで打ち上げに参加していて、あとで知ったんだけど「長野の熱狂的な新日本プロレスファン姉妹」として、新日本の選手の間でも知られてるくらいの有名姉妹だったそうだ。

 あとから聞いた話なんだけど、彼女は打ち上げ会場だったお店のマスターと知り合いで、「バトラーツ興行のチケット10枚買ってくれたら打ち上げに参加させてやる」って言われて、姉妹で10枚買い取って飲み会に参加してたらしい。まぁ、プロレスラーと一緒に飲める滅多にない機会だと思ったんだろうね。彼女は、新日本プロレスファンだから、それ以外の試合を見てないし、バトラーツでも田中稔さん以外は知らなかったみたい。俺っちは、バトラーツの選手でもないし、デビューして1年半ぐらいのペーペーだったから、当然向こうは葛西純なんてレスラーは知らない。そのうえ金髪だし、前歯も無いし、俺っちの第一印象はとにかく怖かったらしい。

 でも、そんな風貌なのに話してみると普通だったから、そのギャップが良かったみたいで、向こうは数分前まで葛西純のかの字も知らなかったんだけど、もうグイグイくるわけだよ。俺っちもデビューしたてで、そんなにチヤホヤされたことなかったから気分良くなっちゃって、一緒に写真撮ったりして、またどこかで試合あったら見に来てね、みたいな感じで別れた。

 それから何週間か後に、大日本の道場に彼女から手紙が来て、一緒に撮った写真が同封してあって「今度、大日本プロレスの長野大会があるみたいなので応援行きます」みたいな感じで電話番号とメアドが書いてあった。本間さんに「こんな手紙もらってるんですよ」みたいな相談をしたら、「お前、そんなの行くしかねーだろ」って背中押されて、「結果は報告しろよ!」みたいな感じで送り出してくれた。

 ホテルを抜け出して彼女と会って、夜の諏訪湖を手繋ぎながら散歩して、「付き合おうか」みたいな話になった。で、その時一応「彼氏とかいるの?」って聞いたら、「います」って言うんだよ。じゃあ付き合えないじゃんって言ったら、「いや別れるから大丈夫」って。もうグイグイくるんだよね。それから遠距離での付き合いが始まって、俺っちは夜になったら寮を抜け出して、道場の近くのボックスから電話するのが日課になった。

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