HACHI、まだ見ぬ人々と全世界へ向けて響く歌 ツアー『for ASTRA.』で繋いだバーチャルとリアルの境目

柔らかな白い光に包まれて披露したのは、「まなざし」。ダイナミックなバンドサウンドのなかにも優しさが光るこの曲は、HACHIからBEESへ贈るあたたかなメッセージソング。〈あなたがくれたまなざしが/生きている〉とまっすぐに思いを乗せたフレーズを丁寧に歌い上げた。
ここからは、「fragment」「光の向こうへ」とメロディアスな楽曲たちを畳みかけるように投下し、HACHIの真骨頂を見せつける。すでに20曲近くを歌い終えた終盤にもかかわらず、その美声が衰える気配はなく、より伸びやかになっているようにも感じられる。曲中には見事な高音のロングトーンを披露し、観客からは盛大な拍手が送られた。
ライブ本編を締めくくったのは、『for ASTRA.』のリード曲である「Pale Blue Dot」。「〈「僕らひとつの歌になれ」〉――。この思いを今この会場で、HACHIの声とBEESのみんなの声で叶えられると嬉しいです」というHACHIの言葉通り、会場にいる全員が声を重ね合わせ、大きなひとつのシンガロングを響かせる。大きな感動を観客の胸に残し、「今日は本当にありがとう。バイバイ!」と手を振ると、HACHIは光となり、彗星のごとく一瞬で姿を消した。

観客の止まない声によってリブートしたHACHI。アンコールでは、「みんながくれる言葉のお返しに書いた、私からの手紙のような歌」という紹介から、彼女が初めて作詞をした曲「レコードのように」を届ける。ミラーボールの光とともに、あたたかい歌声が会場いっぱいに広がっていく。ここまでどんな曲でも安定した歌声を聴かせてきたHACHIだったが、最後のフレーズでは感情があふれ出したように声を詰まらせ、涙ながらに歌い上げる。その様子を見た観客もまた、涙声で叫び、精一杯の声援を送った。スクリーンには、観客のペンライトの光によく似た金色の星空がHACHIを包み込むように瞬いていて、それはまるでステージとフロアがひとつに溶け合っているような美しい光景だった。
壮大なテーマのもと、緻密に作り上げた世界観と唯一無二の歌声で、すべての観客の胸に感動を残したHACHI。彼女の歌は、今後さらに多くの人々へ届くだろう。広い宇宙のなかでも、ひときわ強く輝く星のように。

























