中島健人は本気だから面白い? グッズからMVまで……“アイドルとしての誇り”が生み出すクリエイティブ
4月から始まった中島健人の全国ライブツアー『KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N/bias” 巡』。そのツアーグッズが公開され、中島ならではのユニークさが話題となっている。
発端となったのは、“風起師たち”と名付けられた、アイドル色満載のうちわ。そのネーミングからは想像できないような、「LOVE KENTY」と書かれた文字をバックに、可愛らしいキャンディーを手にした中島が写るピンク色のポップなデザインが目を引く。一方、その反対面にはブラック基調にまとめられたクールな表情の中島が。このデザインには、「一貫してアイドルやってて気持ちいい」「センスよすぎるなぁ」など、ファン内外から数多くの反響を呼んでいた。
これだけにとどまらず、『KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”』でも販売された銃のような形をしたペンライト・ピカレスクの銃口もグッズ発表当初から注目を集めていた。こうしたファンのニーズへの理解の深さと類を見ないセンスは、彼のクリエイティブへのこだわりが生んだもの。そんな彼のこだわりがよく分かるのが、2024年11月にYouTubeで公開された「ピカレスク」のMVの解説動画だ。
本動画で中島は、MVを一時停止しながら、スタッフとの会話の中で裏話や制作時の想い、目を凝らして欲しい部分などを丁寧に解説していく。例えば、開始早々の2カット目で「はい、ここ。ファーストピカレスクポイント。ピカポ」と、カメラマンが命懸けで“冒頭の中島っぽい”アングルにアプローチして撮影してくれたシーンだと明かしたり、「めちゃくちゃ予算かけてる。よさかけ」と事あるごとに言葉を略してみせ、「なんでも略すじゃん」とスタッフに突っ込まれたりと、序盤から“ケンティー節”が炸裂。また、歯に着用していたグリルズに関連して、「ちょっとゴツすぎたから、撮影中に歯科衛生士さんとデザイナーさんに相談して切除してもらったら、すごい(切断)音が聞こえて」「段々ノコギリの音の音程が上がっていったのをよく覚えてる」と、当時の様子を的確に再現しながら裏話を面白おかしく再現したりと、一時停止する度に思わずクスッと笑みが溢れてしまうようなトークが展開されていくのだ。
さらに、破壊シーンも含まれる映像で「アイドルとして死活問題なんじゃないか」「うちの事務所史上、一番危険なMVになってしまうんじゃないか」という協議があったというが、その一方で「ハードボイルドでスリリングなシーンが多いから、一個柔らかくなるようなコメディなシーンが欲しいなと思って入れた」と、現場のジャストアイデアでトランプのジョーカーを名刺に見立てて渡す動きを取り入れたと語る。しかし、「渡した自分がジョーカーなのか、あなたがジョーカーなのか」は見た人の想像に任せるそうだ。
付随して、中島は解説動画の最後にこう語っていた。「この楽曲は俺のラブソングなんだよ。自分の恋文なの」「恋愛とかそういうことではなくて、いろんなことに対する応援歌であり、いろんなことに対して愛情を伝える楽曲。だから一番熱のこもった作品になったなと思いました」――こうした解釈の余地を残すことが、楽曲の世界観を広げ、ファンを一層、“中島健人”という沼に引き込むのではないかと思う。