HACHI、既存イメージから逸脱することで辿り着いた新境地 ササノマリイ、春野、tee teaらと作り上げた万人に寄り添う音楽

 バーチャルシンガーのHACHIが今年で活動3周年を迎え、8月11日に2ndアルバム『Close to heart』を配信リリースした(パッケージは8月30日にEC限定リリース)。同作には、これまでも彼女の楽曲を手掛けてきた海野水玉に加え、ササノマリイ、春野、tee teaといった豪華クリエイター陣がコンポーザーとして参加している。

 VTuberによる音楽活動をはじめ、バーチャルアーティストの活躍も広がりを見せている昨今。HACHIはこの3年間で楽曲配信やYouTubeでの音楽活動をコンスタントに行い、2022年には初のリアルライブを開催するなど、着実にバーチャルシンガーとしてのキャリアを積み重ねてきた。

 そんな彼女が目指す目標は、バーチャルの垣根を越えて多くの人に自身の音楽を届けること。そういう意味でも、万人にひらけたポップソングが並ぶ今作は多くのリスナーに刺さりうる可能性を秘めた作品と言えるだろう。3年の活動を通してHACHIはどんな手応えを持ち、今後どのような未来へと進むのか。バーチャルシンガーとしての現在地について話を聞いた。(編集部)

これまでバーチャルアーティストができなかったことが徐々に実現してきている

HACHI 2nd Album『Close to heart』クロスフェード

ーー活動3周年おめでとうございます! 記念配信で「バタバタしながらも精力的に活動できている」と語っていましたが、活動を振り返ってどんな3年間でしたか?

HACHI:ありがとうございます! おかげさまで本当に安定してるなと思います。活動の波があるわけではなくて、右肩上がりというか、落ちる時期がなかったなと感じています。それは、HACHIを好きだと言ってくれる方が、ずっと継続して配信を見てくれているからだし、配信に来てくださる方がどんどん増えているからなんですよね。だから、応援してくれてる人が増えて、規模が大きくなればなるほど、自分のモチベもどんどん上がっているなと。

ーー活動を見ていると、コンスタントに曲を出しているのが本当にすごいなと思います

HACHI:楽曲を出し続けられるのもリスナーの応援のおかげなんです。応援があるから私も楽曲を出せる。応援してもらった分を、曲で返すみたいな感じですね。先を見据えた計画ができるのも、応援してくれるみんなのおかげだといつも思ってます。

ーー3年経ったわけですけど、活動当初と比べて、心境の変化や考え方が変わった部分があったりしますか?

HACHI:1年目や2年目は、「もっと大きくならなきゃ」みたいな気持ちが強くて、ガムシャラな時期がありました。でも3年経ったら少し落ち着いたんですよ。こんなに応援してくれる人がいるからこそ安心できるというか、やりたいことをたくさんできるなとも思います。

ーーファンが増えることによって、プレッシャーになることはないですか?

HACHI:ファンの方は、私が楽しそうにやりたいことをやってる姿を見て、ついてきてくれてると思うんですよね。そもそも自分が楽しくないことはやりたくないですし、みなさんもそんな私のことを好きでいてくれているからこそ、プレッシャーはあまり感じないですね。いつも見守ってくれている感覚もあって。私、本当にリスナーが大好きなんですよね。

ーーシンガーとして、表現者としての心境の変化はありましたか?

HACHI:花譜ちゃんや星街すいせいちゃんがバーチャルの垣根を越えて、リアルのアーティストと交わり始めていると思うのですが、私もいつかそこに行きたいなという気持ちは強くなりました。バーチャルの界隈だけではなく、いろんな人に自分の歌を届けたい。テレビなどを観ていても、これまでバーチャルアーティストができなかったことが徐々に実現してきているなと感じていて。バーチャルアーティストが音楽番組の生放送に出演しているのを見ると、そういう意味でもリアルとバーチャルが交わってきたなと感じます。

ーー曲をコンスタントに出していくことの難しさや、大変な部分はありますか?

HACHI:今のところ、あまり難しさは感じてないです。曲をたくさん出すにあたって、どういうテーマで作るか、というのが悩みどころではありますね。私の場合は曲を作ってくださる方々にテーマを出すわけですが、いつもどんなことを伝えようかと絞り出しています。楽曲のテーマは、自分の中で大切にしたいことからブレてはいけないと思っていて。人の心に寄り添う曲を作りたいというコンセプトを常に考えるようにしています。

ーー雑談やゲーム配信をやりながら音楽活動をすることもできると思います。HACHIさんは音楽を突き詰めていくという活動スタイルに葛藤はなかったんですか?

HACHI:苦労や葛藤はあまり感じたことがないかもしれません。RK Musicに入る前から、歌いたくて歌っているという部分が大きいんです。自分のキャラを新しく作るつもりもなくて、本当にそのままの自分を見せているんですよね。自分は歌が好きで、自分の歌を聴いて好きと言ってくれる人がいる、みたいな現状がすべてなんですよ。もちろんたくさんの人に歌を届けたいという気持ちはありますが、やっぱり自分の好きなことだけをやっていたいという気持ちを優先してしまうというか。そもそも歌以外の選択肢がなくて、雑談とかもそんなに得意じゃないんです(笑)。だから、自分の一番得意なメインコンテンツだけでいいや! って感じでやってますね。

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