Snow Man、圧巻のエンターテインメントを体現 “2025年の春”を記憶に深く刻む幸福感溢れたライブを観て

まだ4月なのに夏のような陽気となった2025年4月19日、Snow Manによる『Snow Man 1st Stadium Live Snow World』が東京・国立競技場で開催された。デビュー5周年を迎え、1月に発売されたベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』は、発売初日でミリオンを突破するなど破竹の勢いで突き進んでいるSnow Man。今回の『Snow Man 1st Stadium Live Snow World』は、全2会場4公演で28.4万人を動員する大規模なものだ。新国立競技場での有観客公演は、STARTO ENTERTAINMENT所属アーティストで初だという。
会場に入ると、見渡す限りファンが座席を埋めており、その数は7万人。そして、正面に設置されているメインステージは高さ25メートル、最大幅140メートルという巨大さだ。さらに、メインステージから延びた花道の先には“センターステージ”が。それに加えて、アリーナの外周にぐるっと“外周花道”があり、メインステージの反対側に“バックステージ”があるという構造だった。しかも、バックステージからスタジアム側に延びた階段の先にもステージが設置されていた。すべてのファンの近くに行けるように、ステージや花道を張り巡らしているのだ。
ゆっくりと青空が赤みを帯びて夕暮れを誘い込む頃、映像が流れ、ライブが幕を開けた。メインステージにSnow Manの9人が登場すると、7万人のファンの大歓声が鼓膜に刺さるかのように国立競技場に響いた。冒頭のパートでは、エレクトロなダンスビートが鳴る楽曲が続いた。火薬も使われる中、メンバーたちは外周花道を歩いてバックステージへ行くと、そのままバックステージのリフターが上昇。さらに、バックステージの左右もステージとして上昇し、それに乗ってメンバーがアリーナの外周を移動するという演出には驚かされた。
そして、アリーナの外周から上がる噴水にも度肝を抜かれた。高さ20メートルまで昇り、その水量は220トン。圧倒される演出だ。
6曲目の「ブラザービート」では、ロックギターも響く中、ユーモアに満ちたステージを展開。そして、メンバー一人ひとりがファンに呼びかけると、一旦ステージを去った。映像を挟んだ後のパートでは、ミディアムナンバーがそれぞれの個性と歌唱力を浮き上がらせ、それに7万人が聴き入っていた。
MCを挟んで、最初のソロパートがスタート。阿部亮平ソロの「いっそ、嫌いになれたら。」では、阿部がミディアムナンバーを甘く歌い上げ、宮舘涼太ソロの「I・だって止まらない」では、宮舘のボーカルが色気を漂わせた。渡辺翔太ソロの「オトノナルホウヘ」は、ソウル風味の心躍る楽曲だ。目黒蓮ソロの「朝の時間」では、トロッコでセンターステージへ移動しながらバラードを会場へ届けていった。

そして、意表を突かれたのは、“新しいチャレンジ”と紹介されたパートだった。岩本照のドラムの演奏から、マーチングバンドが登場したのだ。その人数、実に総勢70人。そして、Snow Manのメンバーたちもマーチングパーカッションを叩いた。マーチングバンドがいると、演奏にニューオリンズ風味が加わる気もする。そんな中、Snow Manのメンバーが外周花道へ行くと、そこも上下する。バックステージにメンバーが立つと、噴水が上がり、脇にはマーチングバンドも。AI時代に人力の凄味を見せつけるかのような光景だ。このパートでは、「Tic Tac Toe」「KISSIN' MY LIPS」「LOVE TRIGGER」「Cry out」が披露された。
マーチングバンドと別れたSnow Manのメンバーは、バックステージから延びた階段をのぼって、スタンド席に設置された“スタンドステージ”へ。「あいことば」を歌いながら、そのスタンドステージも上昇していくので、最初は目の錯覚かと思ったほどだ。かと思うと、メンバーはバックステージに戻り、トロッコでアリーナを駆け抜けていった。センターステージで歌われた「タペストリー」は、アコースティックギターとビートが、ライブでも妖艶さを生んでいく。
MCではファンに声出しを呼びかけ、再びソロパートへ。向井康二ソロの「ファインダー」では、すっかり陽が落ちた会場でファンがオレンジのペンライトを灯した。深澤辰哉ソロの「iro iro」では、彼のファルセットが美しく響く。佐久間大介ソロの「守りたい、その笑顔」では、ファンのコールも激しく轟く。岩本照ソロの「7%」はソウルナンバー。メインステージ前で盛大に噴水が上げられた。ラウールのソロの「Induction」では、キレ味の鋭いダンスが、静と動のコントラストをも鮮やかに描き出していた。
そして、ヒップホップをベースとしたサウンドの楽曲が続くパートへ。「Grandeur」では、スパークラー、ファイアーボール、フォールが同時に展開される圧巻の光景に。ファイアーボールの物理的な熱が私にも届いたほどだ。このパートでは、メンバー同士の絡みに、悲鳴のような大歓声が起きる一幕も。