JO1の青春は常にJAMとともにある 念願の初単独東京ドームで示した愛と“TOP”を目指す決意

東京ドーム――それは、幾多のアーティストが目標とする特別な場所。そして背景には、この日にかける想いと、数え切れないほどの物語がある。中でもJO1というグループの東京ドーム公演は、“思い入れがある”という言葉では表せないほど待ち望んだ瞬間だったと思う。彼らが4月20日、21日に開催した、グループ初の単独東京ドームライブ『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE’ IN TOKYO DOME』、その最終日の一部始終をここに記す。
数百メートルに及ぶ巨大スクリーン全面を使って映し出される“WHEREVER WE ARE”の文字。“JO1, We Go to the Top”と繰り返す声のループと同時に、歪んだ重低音のベースが鳴りわたる。突如、ステージ中央にたった1人現れた豆原一成が「Are you ready, Tokyo Dome!」と叫びを上げると、白地に煌びやかなストーンがあしらわれたジャケットを纏ったメンバー11人がリフトアップでステージの至る所から登場。バンドセットが「Love seeker」を奏で始めたのを合図に、豪華絢爛なSHOWの幕開けを宣言した。

「Hey, what’s up, Tokyo! ドーム来たぞ!」とシャウトする「HAPPY UNBIRTHDAY」、「Make some noise!」「僕たちの魂燃やします!」と木全翔也が気合を入れた「Move The Soul」を経て、「We are GrandMaster」の一言で鳴り出した「GrandMaster (JO1 ver.)」。先頭で花道を歩いていた木全が、完全に何かが憑依したような表情を見せる。「WHERE DO WE GO」では、歌い終わりのジャズピアノ風のアレンジで、最後にダンスリーダー川尻蓮が軽く踊りながら退場。どんな瞬間も飽きさせない工夫が散りばめられている。
VCR明け、映像内で與那城奨が水疱を指で割った瞬間、場内がひんやりとした空気に包まれる。ライトによって円状に取り囲まれたセンターステージで、木全の手が心臓のように鼓動し、「Aqua」のイントロパフォーマンスから「ICY」へ。2番サビで口角を上げて見せる川西には、耳をつんざくような悲鳴が響きわたった。ビートの音数は少ないものの、“静”が際立つからこそメンバーの激情を感じることができる1曲だ。

ダンスパフォーマンスが光った序盤からバトンを受け継ぐのは、R&Bナンバーの「Black Out (JO1 ver.)」。白い階段に腰掛け、色違いのマイクに艶やかな歌声を込める。「Love & Hate」を歌い上げた直後、横一列に並んで魅せたダンスブレイクで、JO1のオールマイティさを強く感じさせた。続くは川尻、佐藤景瑚、豆原による「EZPZ」。3人揃いの白いロングコートを羽織り、パイプたばこを吸う動きを見せる佐藤、階段に腰掛ける豆原、日本刀を携える川尻……と各々の個が光る。サウンドから小道具の和傘まで、日本らしさを全面に出していく演出で魅了したかと思えば、黒服のダンサーに囲まれた真っ白な3人が花道を歩く姿のオーラには思わず息を呑んだ。終わった後も鳴り止まなかった拍手がその証明だろう。
ここからは本公演の大きな見どころ、「JO1DER SHOW DJ STAGE」。ステージの鍵を握るのはDJ MAMEこと豆原だ。“JO1”コールを皮切りに、「So What」から音を繋いだ「BINGO」では川尻・川西が登場し、景気良くトップバッターを飾る。同様にバスドラムを響かせる「Push On」では、普段は王子様イメージの強い白岩瑠姫と金城碧海がHIPHOPサウンド全開で登場。昨年開催の『JO1DER SHOW 2024 ‘WHEREVER WE ARE’』でも披露された鶴房汐恩の「BONBON.」を経て、再び5人が集結すると、「Eyes On Me (feat. R3HAB)」でDJ MAMEが会場をクラブさながらにぶち上げる。
続く大目玉は、特別編成で届けるバンドユニット・JO1DER SHOW BAND STAGE。「行くぞ!」の声でキーボード、ドラムス、ベース、ギターの音の層が重なり、中央から河野純喜(Gt)・與那城(Gt)・佐藤(Dr)・木全(Ba)・大平祥生(Key)が登場し、美声と生演奏で「Mad In Love」を奏でていく。黒いタンクトップに時折肩からずり落ちる豹柄のカーディガンを羽織った木全、光沢感あるやわらかなシャツでドラムを叩く佐藤、白シャツに深緑のベストや黄色のカーディガン、革のジャケットを重ねた学生感あふれるスタイリングの河野、與那城、大平……と、バンドユニットだからこそ見られるファッションも輝いていた。
中盤、MCで白岩は、JAMのファンネームの由来の1つに「会場を満杯にする」という意味があると振り返り、「それが今、日本最高峰の会場の1つを満杯にしています!」「5年かかりました、ここまで来るのに」と語る。そして、以下のように続けた。

「僕たちはデビューして2年間、人の前でパフォーマンスすることがありませんでした。いっぱい失敗したし、もう無理かな、向いてないんじゃないかなと思うこともありました」「なんで人の好きって言葉はなかなか信じられないのに、嫌いって言われたらすぐに信じてしまうんだろうとも思いました」――だが、続く言葉に、1ミリたりとも迷いはなかった。「でも、そんな辛い思いをするのは僕たちJO1だけでいいと思ってます。JAMを、僕たちJO1の11人は一生愛することを誓います」「もしこの先辛くてしんどい、泣きたいって思うことがある時、JO1のことを思い出してください。あなたの悲しむ要素を全て僕が奪います。JAMが悲しむ全ての要素から僕が守ります」「なので、ずっとJAMの側で、JO1という花を咲かせてもいいですか? ずっと変わらずに愛してくれますか?」――そんな想いの込もった曲「Blooming Again」では特別に撮影許可も下り、かけがえのない思い出を刻んだ。
続く「君のまま」は、心が通い合ったあたたかな気持ちをそのままに表現した1曲。〈特別なものなど何も望まない〉というフレーズは、苦しさも喜びも人一倍分け合ってきたJO1が歌うからこそ説得力が増す歌詞だと思う。ゆっくりと場面が切り替わり、與那城・白岩・河野・大平・鶴房によるボーカルユニット曲「Be There For You」では、ヘッドホンをつけた河野のアカペラから世界に光がもたらされるように広がっていく演出が、強く観客の心を掴んで離さない。〈終わらないこの願いを君に贈るよ〉――幾度も繰り返されるこの歌詞を歌う5人の視線の先では、平日のドームを満杯に埋めるJAMが彼らを照らしていた。
早くも本編の終盤戦。火蓋を切って落としたのは、いかにもアツい祭りを繰り広げてくれそうな川西・木全・金城のトリオによるHIPHOPナンバー「Hottie with the Hot Tea」。ドーム下手から、紙袋を被った2人(木全・金城)がオープンカーに乗って登場し、途中で川西が乗り込んで合流する。手のひらから炎が上がった拍子にステージごとド派手に燃え上がる演出がこれほどまでに似合ってしまう人も、そう多くはないだろう。

さらに、ラストスパートには豪華メドレーが揃い踏み。JO1DER SHOW 2025 REMIXと名付けられたRemixでは、金と黒の衣装のフードを深く被り、サングラスをかけた特攻隊長・木全が先頭でメンバー10人を引き連れ、JAMをクライマックスへと導く。「Speed of Light」のラストで河野のロングトーンが伸びやかに響くと、その声に召喚されるようにしてポップアップで飛び上がってきた白岩の登場が引き金となって「Tiger」に移り変わり、そのままの勢いで「SuperCali」へ。ダンスブレイクを挟み、「REAL」で一気に爽やかに空気を変えたかと思えば、豪快に炎が吹き上がる花道を通った先では「Trigger」でまたパーティーモードに一変。メドレーラストの「ROSE」、「Walk It Like I Talk It」では、吹き上がる火柱に包まれながら思い思いにエナジーを爆発させた。この圧巻のクライマックスに、会場からははち切れんばかりに拍手が注がれ、この日一番の歓声が場を支配する。笑顔でステージに倒れ込んだ川西の姿からも、メンバーが念願の東京ドームで悔いなく暴れ倒したことがよく感じ取れた。
本編最後を飾るのはベストアルバムから「BE CLASSIC」。壮大なストリングスがクラシックの世界へと誘う、トリに相応しいこの新曲は、価値を失うことなく世代を超えていくという意味を持つ“CLASSIC”の概念に「世代を超えていくものを体現したい」という思いを込めた、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」サンプリング楽曲。これまでの第1章に終止符を打ち、JO1を次のステージに連れていくメモリアルな1曲だ。これまでとは違う11人全員の気迫めいた表情、ダンスリーダーの川尻がサポートダンサーに身体を預けて背中から倒れ込む演出、怒涛のクライマックス……。まさに、この瞬間JO1が作り上げていたのは、これからの時代の新たな“CLASSIC”。その全てに息を呑んだ会場から溢れ出した拍手と歓声はその後もしばらく続き、まるでクラシックコンサートでの一幕を思わせるほどの大喝采だった。