“Juice=Juiceという伝統”が促すメンバーの成長 稲場愛香がグループにもたらしたもの

 前述したとおり、Juice=Juiceは歌唱力の高さに定評があるグループだ。これはつまり、オリジナルメンバーの5人のあとに加入してきたメンバーも、その伝統を受け継がなければならないというプレッシャーが存在することでもある。

 前述の宮本・高木・金澤といったメンバーたちがグループを去ったことで、初期とは形の変わった現在のJuice=Juiceだが、しかし“歌うまJuice=Juice”という印象はいまもなお消えずにある。これは現メンバーのうち、歌唱の中核を担っている段原瑠々や井上玲音などの力によるものが大きいだろう。稲場も、Juice=Juice加入当初と現在を比べると、その歌唱力の成長は明らかだ。

3rdアルバム『terzo』紹介ムービー

 先日リリースされた最新アルバム『terzo』に収録されている「Mon Amour」は上記の段原・井上・稲場・そして現リーダーの植村あかりの4人でのユニット曲となっており、Juice=Juiceのみならずハロプロ全体で見ても歌に定評があるメンバーたちとも遜色ない歌声を聞くことができる。

トーク面は今後の課題か

 稲場がJuice=Juiceにもたらした変革としてもうひとつ挙げられるのは、トーク面だろう。前在籍のカントリー・ガールズでは、プレイングマネージャーの嗣永桃子の意向もあり、MCなどではオチのある面白いトークが常に心がけられていた。稲場の「あざと可愛い」キャラもこの頃に発現してきたものだ。Juice=Juice加入当初は、オリジナルメンバーの一人である宮崎由加も「あざと可愛い」キャラで知られていたので、二人が同グループに在籍するという妙味があった。

 しかしそんな宮崎も卒業してしまい、いまはまた状況が変わっている。最近のJuice=JuiceのDVDマガジンでのトークシーンなどを見ていると、ツッコミキャラの少なさが気にかかる。かつては金澤や稲場がその役回りだったのだが、このままではボケキャラのみのグループになってしまう懸念があるのだ。

 だが、筆者はあまり心配していない。ここまで振り返ってきたように、“歌うまJuice=Juice”という伝統がメンバーの成長を促し、ダンスメンバーの稲場が他メンバーの成長を促した。結局のところ、その“場”にふさわしい自分であろうとするメンバーたちの強い意志が、適応力を発揮して最良の結果へと繋げていく。これはJuice=Juiceのみならずハロプロ全体に通底する魅力の根幹のひとつでもあるのだろう。

 だから、新たなツッコミキャラがゆめりあい(工藤由愛・松永里愛)や3flower(有澤一華・入江里咲・江端妃咲)といった後輩メンバーから生まれてくるのかもしれないし、歌やダンスで目を見張るような成長を見せてくれるかもしれない。まずは、稲場愛香卒業という大舞台である武道館公演にて、これからのJuice=Juiceの未来を予見したい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる