「TWICE: Seize the Light」Ep 9.
TWICE、ファンの心に寄り添い続ける姿勢 新型コロナウイルス感染拡大による公演中止への思いも明らかに
思えば、Ep 1.を振り返った本連載の第1回において筆者は「TWICEのパフォーマンスを見るとき、いつも感じることがある。それはどんな時も側に寄り添い、一歩ずつ共に前へ進んでくれるような、あたたかな誠実さだ」と綴っていた。
同じ空間を共有することの出来ない今だけでなく、TWICEはこれまでもずっと、作品やメンバーそれぞれの自己表現などを通じファンの心に寄り添い続けていたのだった。
その感覚について具体的な例を挙げるとするならば、2018年にTWICEがリリースしたサマーソング「Dance The Night Away」を聴けば2018年の夏にあった個人的な記憶が甦り、また同時に、夏の匂いを嗅ぐたび同曲がリリースされた時の胸の高なりが思い起こされるような、言うなれば生活の中にときめきを散りばめてくれるような寄り添い方であるように感じている。
またEp 5.を振り返った連載の第5回では「一塊や群衆ではなく個としてファンと向き合い、この瞬間にしか分かち合えない気持ちを尊ぶ」TWICEが与える感動についても触れていた。
まるでこの時代を共に歩き、一歩ずつ前に進んでくれるような感覚をもたらす彼女たちを好きであり続ける上で、その存在はやがて、いちファンとしての想い出や自分史と紐付けされるようになる、TWICEとはそんなグループだ。
だからこそワールドツアー最終公演の舞台に立つ華々しい姿の代わりに、本ドキュメンタリーを締めくくることとなった“これからのTWICE”を語る彼女たちの実直な言葉は、ファンにとっての“これからのTWICE”とも結びつくような、心に残る特別なメッセージであるように思った。
「TWICEに終わりはありません。現実的に考えて、メンバーがそれぞれの夢を追いかけながら1つでいられるTWICEでありたいと思います」(ナヨン)
「ONCE(TWICEのファン)の皆さんと共に成長したいです」(ツウィ)
「何かを変えたいんです。芸能界に限らず私たちが持っている影響力を使って何か出来ることがあると思うんです。私たちを通じて世の中の何かを少しでも良い方向に変えることが出来ればいいと思っています」(チェヨン)
「ONCEと一緒に年を重ね、10年経ったあとでもTWICEの一員であり続けたいです」(モモ)
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■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter